20年春夏ロンドン・コレクション オリジンをベースにどう進化するか

2019/09/19 11:00 更新


 【ロンドン=小笠原拓郎】20年春夏ロンドン・コレクションは、オリジナルの強さをベースにどこへ次のステップを進めるのかが問われるシーズンとなった。あるブランドはよりラグジュアリーでエッジの利いた方向へ、あるブランドはプリントをベースに大胆にフォルムを広げた。そのブランディングに市場をけん引する力があるのかどうか、注目される。

(写真=ブランド提供)

 バーバリーのショー会場に入ると、四角い空間にミラーの巨大なボックスが置かれている。ショーがスタートすると静かにそのミラーボックスがつり上げられて、舞台に何方向にも向かって置かれた巨大な白いスピーカーが現れる。モデルたちはそのスピーカーを回るようにして歩くという趣向。

 リカルド・ティッシによる3シーズン目のコレクションとなる春夏は、前シーズンにも増して「リカルド色」を鮮明に見せた。バーバリーのイメージといえば、もちろん英国的な要素やトラディショナルなスタイルを挙げることができる。良くも悪くも、そこにはコンサバティブであったり安心といった感覚も含まれる。前任のクリストファー・ベイリーまではそうしたイメージに比較的に忠実で、そこから時代との共通点を探っていくような手法だった。リカルド・ティッシも、前シーズンまではトラディショナルや英国的なものの解釈を忠実にこなしていたように感じている。しかし、この春夏はもっと大胆でラグジュアリーな方向へとかじを切った。まず、前シーズンまであったストリートカルチャーを背景にしたイメージが大胆に削られている。大人っぽいエレガンスを強調したドレスやテーラードスタイルがメインだ。

 デザインのポイントとなるのは、フェティッシュなムードを取り入れたディテール。テーラードスーツはウエストにリブとカットアウトを切り替えて、ウエストシェイプを利かせるとともに肌を見せる。インナーには、ボディースーツのようなパーツを組み合わせる。フロントから見るとミニでバックに布が揺れるデザインも特徴の一つ。タイトスカートのフロントに丸い穴をあけて、そこから足を通すことでバックにフルイドラインを描く。たくさんのスカーフプリントとともに、スカーフをコートに切り替えたり、フロントにバイアス状に垂らしたアイテムもある。たくさんのビジュー刺繍をあしらったカーコートやフェザー刺繍のティアードドレスなど、ぐっと素材感も上がった印象。だが、このラグジュアリー路線へのシフトは、今のバーバリーのマーケティングにぴたりとはまるのであろうか。そこが気になるところだ。

バーバリー
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