今の私を語る上で3回に及ぶ米国駐在を避けて通ることはできません。最初の駐在は米国社の財務を管理するトレジャラー（財務管理責任者）としての86～94年、次が米国社社長としての02～10年、そして最後が常務取締役兼欧米州担当役員として毎月、日米を往復した12～15年です。
米国での駐在期間中に多くの出会いと学びがありました。今回のコラム（全3回）では、赴任中に出会った、私のとても大切な友人をそれぞれ取り上げたいと思います。
最初の人物は、中国人の友人で現在もビジネスで深くつながっているリー・ウェイ氏です。2回目の赴任時、米国のある会社を通じて半導体関連の取引があり、その会社のCFO（最高財務責任者）だったリーさんが上海・嘉定区の役人の方々とニューヨークに来た時に夕食をともにしたことがきっかけでした。私たちは意気投合し、その後、中国出張した際には嘉定区の区長も含め盛大にもてなしてくれました。
リーさんは清華大学出身の博士号を持つ知識人でもあり、現在は半導体部材のコングロマリット企業のトップです。お会いする時は仕事の話が中心ですが、中国の歴史や家族のことも含め何でも話せる仲です。米中関係や日中関係が厳しくなっていく状況においても忌憚（きたん）なく話せる友人は本当に貴重。友情は政治や経済を超えると実感しています。
（GSIクレオス社長 吉永直明）
◇
「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。
