「ドルチェ&ガッバーナ」 ベネチアでオートクチュール発表

2021/09/28 11:00 更新


ドルチェ&ガッバーナ・カーサ

 「ドルチェ&ガッバーナ」は、イタリアのベネチアでイベントを開き、オートクチュールレディスの「アルタ・モーダ」、メンズの「アルタ・サルトリア」、ハイジュエリーの「アルタ・ジョイエレリア」に加え、初披露となった家具・ホームコレクション「ドルチェ&ガッバーナ・カーサ」を発表した。渡航制限が緩み、ワクチン接種が進んだことで海外からの来場も増え、VIP顧客やセレブリティー、ジャーナリストら約300人が参加。かつてのベネチア共和国の栄華を思わせる絢爛(けんらん)豪華なイベントは、コロナ禍を乗り越えて再出発しようというムードにあふれた。

(ミラノ=高橋恵通信員)

 皮切りはカーサの発表。会場となった14世紀初頭建造の「スクオラ・ヴェッキア・デッラ・ミゼリコルディア」に新たな息吹を吹き込むように、多色のベネチアングラスのシャンデリアやドメニコ・ドルチェの故郷シチリアの馬車「カレッティ・シチリアーニ」に描かれたカラフルな模様をモチーフにしたソファ、ダイニングテーブル、キャビネット、書斎用デスクなどの家具、テーブルウェアなどが配された。このほか「地中海ブルー」「ゼブラ」「レパード」の計4テーマで、家具は「フェンディ」「ベントレー」などを手掛ける伊ラグジュアリー・リビング・グループが製造する。11月にはミラノ市内にカーサの店舗をオープンする。

 アルタ・モーダのショーはサンマルコ広場で行われた。オートクチュールの発表は毎回、開催地を象徴するテーマが選ばれているが、今回もベネチアを投影したものとなった。ベネチアングラスからインスパイアされたドレスやシューズ、ラグーンの水面のような青いサテンのドレス。17世紀のシャンデリアやサンマルコ寺院の床のモザイク、カーニバルの仮面、ゴンドラ、スーベニールに至るまで、あらゆるベネチアの要素が盛り込まれた、凝りに凝った仕立てと装飾だ。

 顧客の次世代獲得の動きも見られた。モニカ・ベルッチの娘ディーバ・カッセルら、娘世代6人をモデルとして起用。アニメのようにピンクやグリーンに染めた髪形のモデルも登場した。デザイナーは「アルタ・モーダは、服だけではない。それを取り巻くコミュニティーでありライフスタイル。コロナ禍に負けず、脈々と続いている」と語る。

ドルチェ&ガッバーナ・アルタ・モーダ

 アルタ・サルトリアは中世の造船所跡地のアルセナーレが会場。製作に9カ月を要したというパッチワークや刺繍を用いて芸術作品を表現したケープ、サンマルコ広場を刺繍で描いたコート、ベネチアの象徴である、翼を持つ獅子を縫い取ったチュニック、クリスタルビーズを総刺繍したスーツ。そしてオーバーサイズのスーツもある。若い世代に向けると同時に、コロナ禍後のリラックスしたムードも反映する。

 メンズオートクチュールの先駆けを自負する彼らは、「制服のようなグレーのスーツでは満足しない男性も多数いるのが現実。社会の変化とともに、40~50代の顧客の好みが若々しくなり、父親と息子が同じ服をファミリークローズとして所有するケースも増えてきた」とする。

ドルチェ&ガッバーナ・アルタ・サルトリア

 アルタ・ジョイエレリアの発表もレディスはドゥカーレ宮殿、メンズはスクオラ・グランデ・ディ・サン・ロッコと、歴史的建造物を会場に行われ、ベネチアをモチーフにしたモザイクや七宝のジュエリー、腕時計などが披露された。

 今回、アルタ・モーダのフィナーレに、雷鳴と共に虹が現れた。イタリアの魅力と職人技に敬意を表し、尊重し守っていく。そんな彼らの思いを次世代につなぐ架け橋のように見えた。

アルタ・モーダのフィナーレには虹が現れた


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