ケイト・スペードニューヨークは9月5日、ニューヨークファッションウィークに先駆けて、女性のメンタルヘルスに関する「グローバルサミット」をニューヨークのザ・タイムズセンターで開いた。参加者数は400人。今回3回目となるが、この規模で開催したのは初めて。ケイト・スペードニューヨークによると、参加希望でウェイトリストにいた人は100人という。
(ニューヨーク=杉本佳子通信員)
ランチを含む6時間のサミットに登壇した人は30人。体操選手のシモーネ・バイルズさんは初めてスポーツ心理学者に会った時、「あなたはクレイジーだからここにいるのではない。異なるはけ口が必要なだけ」と言われたエピソードを紹介した。バイルズさんは今はセラピストに会うことを楽しんでいて、「あなた方は助けを得るに値する」と聴衆に呼びかけた。
メンタルヘルスアドボケイターのジャズ・ソーントンさんはニュージーランドで生まれ、3歳から12歳まで性的虐待を受けた。ソーントンさんは、「サバイブ(生き残る)とファイト(戦う)の違いを理解することが大事。サバイブするのをやめて、戦い始めよう。あなたを強くするのはあなた。自分の未来のために戦おう」と提言した。
アカデミー賞候補にノミネートされたことのある女優のタラジ・P・ヘンソンさんは、メンタルヘルスを抱える人々をサポートする人たちへのメッセージを聞かれ、「まず自分の楽しみを見つけて。自分が楽しくなかったら、人を助けられない」とアドバイスした。
ケイト・スペードニューヨークが女性のメンタルヘルスを重視するようになったきっかけは、ウガンダの縫製工場で働く女性たちだった。内戦で心に傷を負っていた女性たちのメンタルヘルスを和らげる試みをし、効果を実感したという。18年に創業デザイナーのケイト・スペードさんが自死した後は、さらに女性のメンタルヘルス問題に取り組むようになった。Z世代はメンタルヘルスを抱えやすいことも、背中を押しているだろう。13歳でメンタルヘルスを抱える女子の割合は、男子の倍にのぼるという。コロナ以降、メンタルヘルスはさらに注目されるようになっている。