京王電鉄グループは商業施設をリノベーションし、新たな形で地域にアプローチしている。今春開業したKO52タカオ(東京都八王子市、運営は京王SCクリエイション)は、京王電鉄が高尾駅前で運営していた居酒屋ビルをリノベーションしたもの。区画を細分化して規模よりも個性を重視する「個商い」と呼ぶ地域の小規模なテナントを集積した。
(田村光龍)
5層で延べ床面積954平方メートル。ビルができてから20年余りが経ち周辺環境が変化、コロナ禍もあって居酒屋ビルとしての継続性が問われるようになっていた。周辺には食品スーパー、ドラッグストアなど日常生活向け施設が充実、大型SCもあり、地域活性化につながる活用を模索していた。そこで、個商いを集積し、都会に近くもローカル色があり自然も楽しめる高尾らしさを発信、地域コミュニティーの醸成や高尾で暮らすことの価値向上に期待する。京王グループではミカン下北で地域コミュニティー作りにつながる施設運営が進んでおり、隣の高尾山口駅周辺で観光事業を通じた地域とのつながりができつつあったことも後押しになった。
館には管理者を兼ねる醸造所を併設した飲食の「高尾ビール」、ファッションレンタルの「ハソラクリエイト」、アパレルの「ムーンツリープラネット」、ランニング関連の「ストライドラボ」や「リビングデッドエイドバイアンサーフォー」、美容院「ウェイヘア&オブ・コスメティック」など、幅広い業種が集まった。初めて実店舗を出したオンライン事業者や、ここで起業した企業もある。
2階スペースを使ったイベントを各店が主体的に実施しはじめるなど、発信も進んでいる。18区画中14区画の立ち上がりだったが、残りの2区画が埋まり、もう1区画も決まった。地域で盛んなトレイルランニングを通じた交流などテナント同士の連携も深まっている。