《めてみみ》完成の時

2024/04/10 06:24 更新


 タビオは3月末、「靴下屋40周年」を祝うパーティーを東京で開いた。販売の最前線に立つ女性店長たちを中心に、全国から190人が参加した。ビュッフェ形式の懇親会、カプセルトイやクイズ大会などで盛り上がり、肩苦しいあいさつは一切無い。和気あいあいとした雰囲気が印象的だった。

 OMO(オンラインとオフラインの融合)戦略の強化を掲げるなか、越智勝寛社長が先頭に立ち、SNSや動画活用などデジタル戦略を加速してきた。24年2月期も増収増益基調。当初はトップダウンのイメージが強かったが、ここにきて店からのボトムアップも目立つ。

 販売員がSNSで靴下の情報を発信するだけでなく、自主的に近くの店のアウターとコーディネートした動画を上げたり、店のオリジナル靴下や地域企業との協業を提案したりといったことが当たり前になってきた。最近は「タビオコネクト」を使い、自身のインスタのコンテンツなどをすぐに編集し、店のデジタルサイネージで流すケースも増えている。

 業績堅調のなか「不安に感じることは?」と、あえて越智社長に聞いてみた。少し考えて「自分たちのOMOが成功、完成したと思い始めた時でしょうか」との答え。「ネット社会の将来はまだ誰も分からない。完成と思った時点で進化は終わる」。企業経営全般に共通する指摘ではないだろうか。



この記事に関連する記事