《めてみみ》ナフサショック

2026/06/09 06:24 更新NEW!


 「本当に全然、手に入らない」。近所にある化学製品の販売会社で聞いた話だ。ペンキや接着剤の希釈、金属部品の汚れ落としなどに使うシンナーの入荷が4~5月の連休前後から途絶えたままという。原料であるトルエンの元になるナフサの輸入が滞ったことが理由だ。

 政府は日本全体で必要な量は確保できていると強調し、ユーザーの手にシンナーなどナフサ由来の製品が届かないのは流通段階で目詰まりや売り惜しみが起きているから、と説明する。

 化学製品販売会社の分析は異なる。ホルムズ海峡経由のルート封鎖で、それまで輸入の7割を占めていた中東経由のナフサが途絶。パナマ運河経由の北米産の原油や代替原料の引き合いが増え運河が混雑し、輸送に時間がかかるようになった。

 輸入にかかる時間が延び、各企業の既存の備蓄量では生産が追い付かなくなった。当面をしのぐため、流通の各段階で供給を絞り、使用量を節約する動きが起こった。結果、ナフサ由来の化学製品が軒並み品不足になったという構図だ。

 仮に供給が安定しても物流費上昇と円安でナフサの価格は上がる。包装材や合成繊維の原料にもなるので、アパレル業界でも服の値上げ要因にもなる。カルビーがポテトチップスの袋を白黒にしたのは、原料高騰が続くことを見越しての判断で、売名行為やマーケティングではないはずだ。



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