真夏の早朝、日課のランニングをするとちょっとした気付きがある。郊外の田園地帯に向けて走っていくと、青い稲が元気に伸びている水田の周りは少しだけ気温が低く感じる。気のせいだろうかと調べてみると、水田には周辺の気温上昇を抑える働きがあると知った。
すれ違うランナーが、最新のメッシュ地のランニングウェアを着ていた。ナイキの「ACG」のラディカルエアフローというトップ。ペースを上げると、空気がランナーの肌を直接流れるように設計されたものだ。購入しようと思っていたが、発売開始とともに一瞬で売り切れてしまった。思わず、すれ違ったランナーに着心地を聞きたくなる。
最新テクノロジーを生かした涼しさの一方で、伝統的な技術を背景にした涼しさも捨てがたい。27年春夏の展示会で、本藍染めのカディの手刺繍シャツに出合った。カディはインドの伝統的な手紡ぎ手織り生地。風をはらんでふんわりと軽く、汗を吸収しやすく風を通して涼しい。素朴な風合いになじむ本藍染めと職人たちが時間をかけて刺繍を加えたデザインが、機能だけではない伝統の重みも感じさせる。
クーリング機能だけで言えば、伝統的な織物は、ハイテクを生かした最新テキスタイルにはかなわないかもしれない。それでもそのたたずまいは、青い田園風景の持つ優しい涼しさと共通する魅力を感じさせてくれる。
