ミスターイット
「ミスターイット」（砂川卓也）は9月上旬、東京都内のスタジオで25年春夏コレクションのプレゼンテーションを行った。デザイナーの砂川が表に出てきて、一体一体のスタイリングを調整しながら「ショーの前日に行う最終フィッティングを皆でチェックする」演出で見せた。
日常着にクチュール的な要素を取り込む砂川らしいアプローチを発展させた。ワークポケットが付いたシャツ、プリント柄のブラウス、Tシャツなど、普段使いのアイテムはラウンドカットのトレーンを引き、軽やかにエレガンスを感じさせる。その下にはスカーフを使ったニーハイソックスを合わせたり、裾がパネル状になったドレスをレイヤードしたりと、揺れ動く色鮮やかなスカーフでアクセントを利かせた。
泥染めしたスカーフを使ったテーラードジャケットやジレは、ラペルがふっくらと立体的な作りになって上質感が漂う。メンズモデルには、サイドに柄が浮き上がるショートパンツをセットアップした。一つのアイテムを丁寧に作る姿勢が見て取れる一方、次回は素材の幅を広げて、多彩な変化を生み出すクリエイションに期待したい。
（須田渉美）
