ピッティ・イマージネ・ウオモ特別イベント 「シモーン・ロシャ」  軽やかに性差超える

2026/06/22 06:29 更新NEW!


 【フィレンツェ=小笠原拓郎】ピッティ・イマージネ・ウオモのスペシャルイベントが、フィレンツェ市内で相次いで行われた。今シーズンの目玉となったのは、シモーン・ロシャによるメンズウェアの単独のショー、二宮啓による「DSMケイ・ニノミヤ」の初のショーだ。

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引き出しに驚き

 「シモーン・ロシャ」は歴史ある劇場を会場に選んだ。奥行きのあるステージから客席に向かってモデルが歩く演出。これまでウイメンズをメインにしてきたせいか、シモーンがこんなにもメンズに関する引き出しを持っているとは思わなかった。そんな驚きのコレクションとなった。

 端正なフォーマルジャケットにランジェリーのような白いショートパンツ、ワイドパンツのスーツは背中がばっさりとカットアウトされる。ランジェリーライクな白いアイテムには繊細な刺繍が加えられ、フェミニンなムードに確かな質感を強調する。フェミニンなトリミングのノースリーブトップにフリル飾りのエプロンの重ね着。男性らしさと女性らしさの現代におけるバランスを軽やかに主張する。

シモーン・ロシャ
シモーン・ロシャ

 男性が履く黒いバレエシューズ、ボリュームスリーブやドレープの豊かなフーデッドブルゾン、マスキュリンの要素とフェミニンな要素が巧みに混ざり合う。それは緩やかにこなされた性差の超克。これまで確かな歩みを続けてきたシモーンが、いきなりメンズモードの最前線に躍り出た。

反抗と畏敬の共存

 DSMケイ・ニノミヤがショーデビューした。フェンスを囲む円形のステージに登場するモデルたちは、パンクスのように髪の毛を逆立てながら、フラワーのヘッドピースを飾る。まるで現代社会への反抗と生命への畏敬(いけい)が共存するかのようだ。

 そんな若さあふれるモデルたちがまとうのは、プリーツスカートとジャケットの組み合わせやボンテージパンツ、擦り切れたかのようなニット。たくさんのボタンやジップアップ、安全ピンを重ねた装飾がアクセントとなる。それは「コムデギャルソン」や「ノワール・ケイ・ニノミヤ」ではおなじみのもの。メゾンのコードを取り入れて軽やかに見せた。

DSMケイ・ニノミヤ

 二宮のクラフト的物作りを期待していたためか、見終わった段階では物足りなさを感じた。しかし、このブランドはノワール・ケイ・ニノミヤではなくDSMケイ・ニノミヤなのだと考えると、その物作りにも合点がいく。ドーバーストリートマーケットのコミュニティーをイメージしたユニフォーム的なブランドであるというアイデンティティーゆえ、日常性と切り離すことはできない。ただし、そこにわずかの強さや驚きを加え新鮮さを生み出す。

 プリーツスカートのチェック柄の配色、サイドジッパーのパンツのボリューム感など、ささいなところで独自のニュアンスを出している。改めて振り返ると、これは今の時代の物作りの根幹にある「見たことのないスタンダード」という発想に忠実なものだったのかもしれない。

DSMケイ・ニノミヤ

(写真=Giovanni Giannoni)



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