現代のメンズウェア消費者像とは?(WGSN)

2018/05/15 04:29 更新


WGSN独自の消費者ブランドトラッカーBarometer Menswear Surveyの開始を記念してメンズウェア分野に精通する当社のメンズウェアディレクターVolker KettenisとシニアメンズウェアエディターNick Pagetにインタビューを行い、現代のメンズウェア消費者像とトレンドについて語ってもらった。

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■ストリートウェアシーンではブランドコラボレーションが盛んで、これからも続きそうですが、今後はどう動いていくと思いますか?

Nick:コラボレーションがなくなることはないでしょう。若者たちの絆を深める方法の1つですから。好きなブランドによって、その人の好きな音楽ジャンルが想像できます。同様に、好きなスポーツやどんなタイプの人なのかも想像がつきます。

しかし気をつけないといけない点があります。ブランドが手広くコラボレーションをやり始めると、そのブランドを最初から支持してきたファンが離れていってしまう可能性があります。彼らにとってのブランド価値が薄まってしまうからです。

インターネットが普及する前と比べてコラボレーションは大きな変化を遂げました。以前は誰よりも早くそのアイテムを手に入れることが全てでした。好きなものについて自分でリサーチしないと情報を得ることができませんでした。また、今のコラボレーションのように高いものばかりではありませんでした。

Volker:ブランドコラボレーションはニッチの異なる2つのブランドが一緒になってオリジナルなアイテムを生み出すための素晴らしい方法です。それは今も変わりません。歴史のある古いブランドを新しい世代の消費者にアピールするためにも有効です。

例えばFred PerryとRaf Simonsのコラボレーションがその例です。しかし今はコラボレーションが少し多過ぎるように感じます。ストリートウェアでは話題性を維持できますが、深い意味のないコラボレーションだったらそのアイテムを欲しがる消費者は減っていきます。コラボする製品は非常に重要です。SupremeとUNDERCOVERとPublic Enemy、もしくは前二者とBlack Pantherのようなコラボは今でも高い関心を集めます。

■メンズウェア消費者は変化しました。知っておくべき点は何でしょうか?

 Volker:現代のメンズウェア消費者はより豊富な知識を持っています。ここ数年、メンズウェアはメディアでホットトピックになっています。長い間ストリートスタイルが大きな影響を与えています。メンズウェア関連のメディアは必ずストリートスタイルを取り上げます。しかし世代的な隔たりがあり、機能性のために服を買う消費者とファッション性のために服を買う消費者がいます。

Nick:より多くのチャネルを利用できるようになり、男性たちにとって着こなし方について情報を得る機会が増えました。この影響は明らかです。男性たちのスタイリングが上達したと思います。

女性たちはスタイリングに慣れています。スタイルをミックスしたり、ユニークな方法でアイテムを組み合わせたりするのが上手です。男性たちの間ではこのようなテクニックはまだ新しいものですが、だんだんと浸透してきました。メンズウェアリテーラーはこの点を考慮するべきです。つまり、メンズウェアはウィメンズウェアに近くなってきているのです。また、メンズグルーミングでも大きな変化が見られます。

■服に対する男性たちの視点が変わってきています。これについてファッションインフルエンサーはどんな影響を与えていますか?

Nick:メンズウェアのファッションインフルエンサーはどちらかというと新しく、ウィメンズウェアと比べてそれほど影響力はありません。セレブリティも影響を与えます。若い男性消費者の憧れの対象は主にスポーツ選手や音楽アーティストでしたが、今はセレブリティも憧れられるようになりました。

しかし、「あの人とまるで同じようなファッションがしたい」というのは少し恥ずかしいと感じる男性は少なくないです。未だに男性はファッションに敏感であるべきではないという風潮があるからです。

Volker:そうですね。未だにジレンマがあります。欲しい服があるけれど、仲間たちからからかわれるかもしれない。そういうことを気にします。


■では服を買うときに男性は誰から影響を受けますか?または、何から影響を受けますか?

 Volker:メンズウェア市場のトレンドは、あまりアイテムが中心ではありません。男性たちは買い物するとき、アイテムよりもブランドやリテーラーに重きを置く傾向があります。補充のための買い物は話が別です。その場合は特定のアイテムについてまず考えます。

 Nick:そうですね。男性たちは買うものについて友達と話すことは少ないです。数年前とは違い、男性たちはブランドメッセージをあちらこちらから受け取るようになりました。ブランドはターゲット層に向けて正確なメッセージを伝えるべきです。もちろんどんなブランドにとっても言えることですが、メンズウェアに関してはこの点が非常に重要です。

■eコマースはどうでしょう?メンズウェアにどのような影響を与えましたか?

Nick:インターネットは明らかにメンズウェアシーンを一変させました。試着室を嫌う男性が多いので、ネットショッピングは彼らに合っています。The ChaparやNordstromのTrunk Clubといったブランドはこの悩みのタネを解決するために生まれました。オンラインパーソナルスタイリストが好みやライフスタイルに合わせておすすめのアイテムをセットで提案してくれるので便利です。

そして家で試着して気に入った服だけ購入できます。比較的に手頃な値段のオーダーメイドが増えたのも、男性の試着室嫌いを考慮したためだと考えられます。

ブランドはメンズウェアのネットショッピングにおいて大きな役割を果たします。手で触ってみて品質を確認できないのが気になるならば、Mr Porterで買い物をすれば期待を裏切られることはあまりないでしょう。

■メンズウェアブランドがファッションに敏感な新しいタイプの男性消費者の関心を引くには、何をするべきでしょうか?

Volker:メンズウェアブランドは時代に乗り遅れないように常にトレンドを把握しておくべきです。男性たちはブランドだけを別物として捉えることはありません。彼らが好きなものと関係しているブランドでなければなりません。

Nick:オーセンティシティ(信頼が置けること)はいつでも重要です。ブランドからのメッセージを含め、男性は何事も疑ってかかる傾向にあります。ブランドとして真の姿を見せることが新しいタイプの消費者とコネクトするための必須条件です。

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WGSNによるBarometerは、メンズウェアとウィメンズウェアのリテールに関する消費者インテリジェンスツールです。ファッションリテーラー300社について150以上の項目にわたって260人の消費者に日々インタビューを行います。あなたの企業の長所と短所を消費者目線で明らかにします。詳細を知りたい方はぜひお問い合わせください。

NickとVolkerによるインサイトをもっと知りたい方はWGSNのメンズウェアセクションを今すぐチェック。

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