【パリ=松井孝予通信員】仏「シャネル」は、ジュエリークリエイションスタジオディレクターにマリーロール・セレード氏を起用すると発表した。24年に死去したパトリス・レゲロー氏の後任として、10月に就任する。セレード氏は仏「カルティエ」で時計・ジュエリーのクリエイションを担ってきた。高級宝飾分野で実績を積んだ人材の起用は、同社がジュエリー事業を重視する姿勢をうかがわせる動きとして注目される。
【関連記事】シャネル、25年度は増収に 「ブレイジーマニア」現象も
セレード氏は仏ESCP経営大学院卒。カルティエでキャリアを開始し、その後「ハリー・ウィンストン」を経て再びカルティエへ。近年は時計とジュエリーのクリエイション部門を統括した。仏紙によると、カルティエでは「トリニティ」リングのスクエアモデルや、「パンテール」「パシャ」などの刷新にも関わった。シャネルではファインジュエリーとハイジュエリーの両部門を統括し、パリとジュネーブのチームと連携してクリエイションを担う。
故レゲロー氏は15年にわたりシャネルのジュエリークリエイションを率い、カメリアやライオン、ツイードなどメゾンのコードをジュエリーへ翻訳し、ヴァンドーム広場における存在感を高めた。セレード氏には、築かれた基盤の上でシャネルらしい世界をさらに発展させることが期待される。
高級宝飾はラグジュアリー市場減速下でも比較的底堅く、各社が投資を強化するセクターとして存在感を高めている。LVMHやケリングも、ジュエリーの成長性や収益性に言及しており、競争はブランドや店舗だけでなくクリエイションそのものの人材の獲得にも広がる。シャネルがカルティエ出身の中核人材を迎える動きは、ジュエリーを巡る競争軸の変化を示唆する。
