今年1月、以前から親交があるデニムブランドDENHAMがフィレンツェ開催のPitti Uomoで創立10周年を祝うというエキサイティングなニュースが届いた。
DENHAMは創立記念パーティーを皮切りに、今年1年を通じてプログラムを組み、誰もが楽しめるような特別なイベントや製品ローンチを行う予定だ。
DENHAMの創立10周年を祝うことは私たちにとって大きな節目になります
これを記念したプログラムDecade of DENHAMは、ブランドを形作ってきたインスピレーションや私の最大の情熱を表しています。他のブランドや、キャリアを通して私に影響を与えてくれた人たちとパートナーシップを組むことを誇りに思い、非常に楽しみにしています。
創立10周年を祝い、10 Special Projectsと銘打った10のコラボレーションを行い、2018年を通じてリリースしていく。日本限定の特別エディションConverse Jack Purcell、NORR11との家具コレクション、英国の伝統的なブランドBarbourとのカプセルコレクション、日本の大湖インディゴ酒、フランスの香水メーカーとのコラボレーションなどが含まれる。
10 Special Projectsは同ブランドの価値観を示すだけでなく、Jason Denham独自の好みや個性も反映されている。
10年の節目を祝って出版するA Decade of DENHAMもブランドのファンを喜ばせている。このコーヒーテーブルブックではブランドの10年間のジーンズ作りを振り返る。創立5周年に出版されたDenham: 5 Years in the Makingの続編となっている。10周年エディションは、小さな企業としてスタートして世界的なデニムブランドへと成長を遂げたDENHAMの構築に関わった人々のストーリーを伝える。
Jason Denham自身が語り手となり、全512ページに800以上の写真を含み、ジーンズ、ハサミ、リテール、スタッフ、コレクションなどDENHAMの全てがわかる。
今回Jason DenhamとDENHAMアートディレクターAli Kirbyにインタビューを行い、Decade of Denhamにまつわる秘話、10年間の歴史の中で思い出深いエピソードなどについて話を伺った。
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ー10年はブランドにとって大きな節目ですね。この10年間でデニム業界はどのように成長しましたか?業界の変化にどのように対応してきましたか?
Jason:デニム事業はこの10年で大きく変わりました。10年前、ヴィンテージデニムのブームの真っ只中でした。クオリティの大切さを世間に広める良い機会だったと思います。当時はクオリティが全てでした。今はサステナビリティがバズワードであり、これは当たり前のことです。この10年間にわたりデニム業界はサステナビリティに取り組み続け、その世界的貢献度の大きさは素晴らしいと思います。
私たちのビジネスはどんどんスピードアップしています。デニムメーカーによるイノベーションやソーシャルメディアの影響により、消費者の要求が強まったためです。今見ているものを今欲しい。それが今日の消費者のメッセージです。
ー創立5周年の本と創立10周年の本の内容の違いは?どのように構成を練りましたか?
Ali:どのように製品を手掛け、どのようにアイデアを生み出すか。創立5周年の本ではブランドの仕組みにスポットライトを当てました。創立から5年経っても、ブランドの形成期であるように感じたからです。これらのアイデアがベースとなり、10年経った今、奥深いストーリーが生まれ、ブランドの価値観が豊かになりました。
新しい本では引き続きストーリーを伝えますが、ブランドの感情的な面を捉えます。Jason Denhamによる文章に写真を添えて、10年の歴史を振り返り、思い出深いエピソードを紹介します。もちろん製品は重要ですが、Denhamを形作る人たちを大々的に取り上げています。アムステルダムから日本まで、世界各地のDenhamの店舗とそのスタッフ。店舗にいる彼らはブランドの成功に欠かせない存在です。
製本においては、デニム生地の本質を表現しようとしました。表紙には自然なブルーのリネンを使用しています。デニムの特徴を真似て、緯糸よりも経糸を少し軽くしました。DENHAMのジーンズはCandiani社の生地を使ってイタリアで作られています。Candiani社は世界で最も環境にやさしい工場と呼ばれています。私たちによるサステナブルなデニム作りに対する努力を反映させるために、FSC森林認証紙を採用しました。
アムステルダムの本屋Mendo Bookとの共同出版により、オランダ国内で印刷しました。オランダの印刷会社と職人に依頼し、地域経済をサポートしました。この国の印刷および製本技術には豊かな歴史があります。2色刷りの文字からもその高度な技術が見て取れます。1冊ずつ手作業で2度印刷を行いました。この作業自体がアートです。
ーDENHAMにとって、この10年で最も大きなビジュアル的な変化は何でしょうか?
Ali:アートディレクターとして、ビジュアルアイデンティティをブランドの進化に合わせていくことは大きな課題の1つです。とても良い経験になっています。ブランド成長に伴い、アイデンティティを管理する方法を学ぶよりも、自由に感じたことの表現を優先できるからです。
DENHAMにおける私の役割はロゴデザインから始まりました。それ以来、ほぼ全ての2Dグラフィックを担当しています。本のデザイン、製品のデザイン、パッケージ、ラベル、写真、Tシャツ、ロゴなどです。つまりDenhamのグラフィックデザインの変化は私のスキルにも関係しているのです。ブランドと私の成長です。アイデアも変わり、進化します。創立10周年の本では、ブランドのいくつかの側面を再考し、新鮮なコンテンツを生み出しました。
ハサミとハサミの技術について大きく取り上げました。この10年を通じてハサミのマークはDenhamにとって欠かせないビジュアルとなっています。私はハサミをスタート地点として、DENHAMのグラフィックを考えます。
ーこの10年間で、素晴らしいセレブレーション、パーティー、インスピレーションを得た旅行体験、様々なエピソードがあったと思います。あなた個人にとってDENHAMでの最も特別な思い出は何でしょうか?
Jason:はい、たくさんの重要な節目がありました。特に思い出深いのは、創立10周年の本にも書きましたが、アムステルダムと東京に初めて店舗をオープンした時です。ロサンゼルスで古着の祭典を主催し、My Freedamnの著者でもある田中凛太郎さんがテープカット式典に参加してくれました。彼はブランド初のコレクションのゲストフォトグラファーを務めました。
デザイナーAnthony Burrillによる“Work hard & be nice to people”から2018年冬コレクションに予定されているBarbour Internationalとのコラボレーションまで、ゲストフォトグラファー、アーティスト、コラボレーターとのプロジェクトは非常にやり甲斐があります。私の憧れのヒーローであるAdriano GoldschmiedとPaul Smithと仕事ができたのも光栄に思います。
ー今後数年(3年~5年)において、ブランドの次のチャプターとして何が期待できますか?
Jason:今までの10年間で成し遂げたことと同じようにやっていきます。つまり、卸売、オフラインチャネル、オンラインチャネルにおいてブランド構築を進めていきます。アジアと北欧はDENHAMブランドにとって常に重要な地域です。今年終わりまでに日本の店舗を増やし、合計30店舗を展開します。代官山に第一号店をオープンしたときと同じ姿勢とやる気で取り組みます。中国でのビジネスも成長しています。今年終わりまでに店舗数は20店舗になります。韓国がその次です。第2四半期に江南区に第一号店をオープンします。
北欧市場を中心に卸売モデルも成長中で、その他の地域の重要な都市も視野に入れてパートナーシップの活性化を図ります。今後3年から5年の間に事業拡大のために本社を移転する予定です。私たちのクリエイティブなニーズを満たし、従業員数の増加に対応し、アクティビティをサポートできるようなロケーションをアムステルダムで探しています。
製品ラインは常に進化を続けますが、プレミアムデニムの5ポケットジーンズが私たちのビジネスモデルの中核であることに変わりはありません。最近、アーカイブのアイコニックなモデルにインスパイアされたJason Denhamコレクションを打ち出しました。最も美しい素材を使用し、「ディティールに見出される真実」というブランドのコンセプトを体現しました。私たちのブランドの主要ラインに成長するだろうと期待しています。
クリエイティブなブランドソリューションをもっと知りたい方はWGSNによる「2019/20秋冬 ビッグアイデア:デニムリポート」をご覧ください。Pitti Uomoのデニムリポートもお見逃しなく!
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