婦人靴のダイアナは、今夏に立ち上げた女性の日常に向き合う新ブランド「エフ・バイ・ウェルフィット」で顧客の幅を広げている。パンプスを主力としている同社だが、企画、物作りから売り方まで、ゼロベースで考えた新事業だ。環境配慮、負荷の少ない生産、人材育成にもつなげていく。
コアターゲットはミドルエージの女性だ。若い感性を持っていて、「現状のコンフォートシューズは自分たちのスタイリングに合わない」と感じていることに着目。履き心地良く、加齢による足や靴の悩みを解決しながら、デザイン性を伴った靴を目指し、木型の開発から3年がかりで作り上げた。
従来の木型の設計を見直し、内側に肉を付けて足を包み込み、甲の外側の余分なゆとりをそぎ落として歩行時のブレを抑える。この構造で、ポインテッドトウ、スクエアトウ、細身のスクエアトウの三つの木型を製作。すっきりと輪郭のきれいなシルエット、ローヒールでもエレガントな曲線のカットやディテールに特徴を出す。この秋冬はフラットシューズ8モデルがある。本体1万5000円から。
同じ木型でブーツも3モデル揃えた。今後もこの三つの木型を軸に品揃えし、可能な限り製品のスペックを統一させていく考えだ。同じ足入れによって「履き心地の良さを理解してもらい、リピート購入を促していきたい。ECでも三つの型を見て安心して購入してもらい、店舗との連動を強めたい」とする。同社のEC比率は15.5%だが、6月に販売を始めたエフ・バイ・ウェルフィットは19%と若干高めだ。
また、30代の購入が最も多いという。環境配慮も心掛け、国際環境基準のLWG認証の皮革を使うほか、靴箱には再生段ボールを採用し、縁には「サンクス!」と感謝の気持ちを記している。
社内的には、一貫性を持ったブランド事業を重視し、企画から靴メーカーとのやり取り、SNSなどの販促まで、一人の担当者が管理する体制を取った。これを機に、「マーケットが大きく変わるなかで顧客満足度を高めていくためにも、広い視野を持って対応できる人材の育成に取り組んでいく」考えだ。