婦人靴メーカー、アルジェント(神戸市)が製造販売している、足長20~22.5センチサイズを対象にした「フォアモスマルコ」の新作のショートブーツが売れている。自社工場の熟練の技術を強みとするなかで、三越伊勢丹の3D足型計測サービス「ユアフィット365」の2万人のデータを活用し、木型をアップデートしたことが消費者ニーズを捉えた。
このブーツ(本体2万7000円)はDウイズ(足幅)設計で、基本の木型よりもかかとが小さめにできている。発売にあたり、10月中旬に伊勢丹新宿本店の婦人靴売り場で1週間の催事販売を行ったところ、用意したラインナップの売れ筋1位となった。催事全体の実績も過去最高だった。
同売り場のSNSで新作の詳細も伝えていたことから、「データを活用したブーツだと知って来店した顧客も見られ、シンプルで飽きのこないデザインに引かれ、履き心地に感動して購入に結びついた」という。催事の後はフォアモスマルコのECで販売している。
フォアモスマルコではこれまで、足が小さくても美しく見えるBウイズ設計の木型を基本に品揃えしてきた。30年近くOEM(相手先ブランドによる生産)を続けるアルジェントは、長年の蓄積と職人の感覚に頼って物作りしている。一方で、利用者から「足が小さくでも足幅が狭いわけではない」という声が多く上がっていた。「自分たちの基準が本当に合っているか、実際に採寸して得られた数値で結果を見てみたい」と開発に至った。今秋冬は1モデルだが、徐々に新木型のモデルを増やしていく考えだ。
三越伊勢丹では、19年夏にスタートしたユアフィット365で約2万人の足型データを蓄積しており、それらを元に現代の年代別の女性の足型を数値化した。「これらを今後、取引先と共有することで、より履き心地の良い商品の開発につなげていきたい」という。