スペインのテキスタイル企業大手のSTL(ソシエダ・テクスティル・ロニア)は1月7日、フランスのメゾン「クリスチャン・ラクロワ」の100%の株式を取得することで合意したと発表した。買収額は非公開。今回の取引によりSTLはそのブランドポートフォリオを強化し、ファッションとラグジュアリー業界での国際的地位をさらに高める意向を示している。
同社は声明で、「クリスチャン・ラクロワのオートクチュールの歴史とサヴォワールフェール(匠の技)を象徴するアーカイブを取得することで、ブランドの価値を高める」と強調。「ラクロワ氏の才能とファッションへの貢献を最大限に発揮できるよう、全力を尽くす」と述べたが、今後のコレクション展開については言及していない。
クリスチャン・ラクロワは87年、ベルナール・アルノーLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン会長と、クリスチャン・ラクロワ氏によって設立。05年に米企業のファリックが買収したが、09年に経営破綻し民事再生法が適用された。ラクロワ氏はその後ブランドを離れたが、翌年、ファリックの再建案が受理され、アクセサリー、香水などライセンス事業に特化し再スタートを切った。
STLは97年に設立された、自社の既製服ブランド「プリフィカシオン・ガルシア」や、アクセサリーの製造、流通網を持つテキスタイル企業。00年には香水・ファッション大手のプーチ(スペイン)が所有する「キャロリーナ・ヘレラ」の姉妹ブランドを立ち上げた。プーチは14年にSTLの株式の25%を取得している。
(パリ=松井孝予通信員)