《めてみみ》香港の現在地

2020/09/18 06:24 更新


 香港で「国家安全維持法」(国安法)が施行されて3カ月弱。日本でも有名なアグネス・チョウ氏や香港の新聞アップル・デイリー社主で、「ジョルダーノ」の創業者でもあるジミー・ライ氏など逮捕者が続出した。

 ニューヨーク・タイムズはデジタル編集部門を韓国ソウルに移すと発表した。欧米企業が香港を離れる動きが出てきそうだ。

 国安法の事業への影響を在香港日系企業に聞くと、懸念はするものの「今のところはない」が大半。ある駐在員は、「香港外の人が負の面を大げさに強調しすぎ。業務上で不都合になったことはなく、変化は感じない」という。香港から拠点を移す可能性について、ある商社駐在員は、「考えないという責任者はいないだろう。しかし金融制度や法律が大きく変わらない限り、香港の役割、位置付けは変わらない」。

 繊維事業が柱の企業にとっては、中国とアジアの生産地支援や各拠点をつなぐハブ機能、投資のしやすさや税の優遇など金融機能面、欧米バイイングオフィスへのアプローチなど、様々な面で「香港は条件が揃っており、代替地はない」のが実情。影響を危惧しつつも、中国が「外資企業が逃げ出すほどの大きな変更は加えないのでは」と見る。あらゆる可能性を想定しながら、しばらくは香港の機能を有効に使い続けるというのが現実のようだ。



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