井野屋の子会社MSPC(大阪市)は「マスターピース」の18年秋物から、無縫製横編み機「ホールガーメント」で作った素材に、小松精練の特殊加工「コンブ」を施したメンズカジュアルバッグを販売する。MSPCによると、ホールガーメントを使ったメンズカジュアルバッグは同社が初めて。
ホールガーメントを使うのは「ルーム」シリーズ。3色2サイズ(大4万9000円、中4万6000円)のツーウェーバッグを打ち出す。端が丸くなるニットの特質をデザインとして生かし、バッグの口やショルダーベルトに採用している。
アウター生地は途中で編み地を変え、表情を作る。この生地はポリエステル・ナイロン糸で袋状に大きく編み立てた後、コンブの加工で収縮させたもの。バッグとして耐えられる十分な強度とともに、独特のハリ、コシと撥水(はっすい)機能を備える。「ホールガーメントの生地素材が定着すれば、ニット表現でのデザインの可能性も広がる」(永田雄一デザイナー)と今後の商品企画の広がりに期待を寄せる。
今回はフロントベルトのバックルに付けやすく外れにくい「フィドロック」や高密度の「コーデュラ」ナイロンをインナーバッグに採用するなど、マスターピースが得意とする高機能性をホールガーメント以外にも取り入れている。