「ナオランジェリー」は7月28~30日の3日間、自社製品の縫製を依頼している栃木県栃木市の小林縫製工業で期間限定イベントを開催した。同イベントでは商品を販売するだけでなく、縫製工場見学ツアーも実施した。物作りの現場を見てもらう試みの背景には、ナオランジェリーの川嶋菜緒社長と小林縫製工業の小林雄一社長共通の「国内縫製を守り抜く」との思いがある。
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小林縫製工業は、OEM(相手先ブランドによる生産)メーカーとしてファンデーション全般を縫製しているが、コロナ禍以降は厳しい状況が続き「廃業・倒産に追い込まれる同業者も少なくない」(小林社長)と言う。依頼された商品を生産するだけでは、縫製工場を続けるのは厳しいと判断し、21年9月に自社フランド「百年ショーツ」を発売した。直営店も本社事務所の隣にオープンし、今回のナオランジェリーのイベントも同店舗内で開いた。
小林縫製工業のベーシックな自社製品と、華やかなナオランジェリーの商品はテイストも価格も異なるが、「まずは近隣の皆様に、世界に通用する本格的なランジェリーを見ていただき、この工場で縫製されている事を知って欲しかった」と語る。また、ナオランジェリーはSNSなどで縫製工場やレース工場の様子を積極的に発信している。どのような人がどのような思いで物作りに関わっているかを知ってもらうことで、高価格帯にランクされる値段に納得してもらう意図もある。
イベントは、大きな利益が出る規模ではなかったものの「いつも縫ってくださっている工場の皆さんと一緒に時間を過ごす事に、大きな価値があった」と川嶋社長。国内縫製を守り抜くためには課題が多いが、今回のイベントは2社にとってその一歩であり、意義のあるものとなった。