【パリ=松井孝予通信員】フランス政府は、中国発ウルトラファストファッション「シーイン」に対し総額2240万ユーロの行政制裁を科した。競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF)が発表した。制裁理由は、注文確認メールで価格や販売者情報、配送期限など消費者向け情報の提供が不十分だったことに加え、オンライン販売で認められる14日間の撤回権や環境情報の表示に不備があった。
制裁金額は、注文確認メールに関する違反が1670万ユーロ、撤回権と環境情報に関する違反が570万ユーロ。シーイン側は、必要情報は顧客アカウント上で確認可能だったと説明し、「制裁は不均衡かつ差別的」と反発。消費者被害は確認されておらず、技術的な論点に過ぎないとして、行政裁判所への提訴方針を示した。
仏政府は今回の措置を単なる表示不備とは位置付けていない。セルジュ・パパン商業担当大臣は、今回の制裁について「個別の不備ではなく、規制を回避しながら成長する事業モデルへの対応」と説明した。
背景には、仏アパレル・小売業界の苦境もある。ファッション小売企業の間では、低価格小包を武器とする海外プラットフォームへの批判が高まる。購買力低下や値頃志向が強まる中、政府内では対策を急ぐ必要性も高まっている。
仏政府は7月からEU(欧州連合)域内流入小包への定額課税導入を控えるほか、ファストファッションへの負担金導入法案の議論も進める。シーインへの制裁は単なる消費者保護措置ではない。越境ECを通じて急拡大したウルトラファストファッションを巡り、仏政府は制裁、課税、制度整備を組み合わせながら競争条件の見直しを進める構えだ。