若手社員による勤務中のSNS投稿をきっかけにした情報流出トラブルが相次いでいます。業務中の何げない投稿から、社内の内部情報や顧客の個人情報の漏洩(ろうえい)につながり、企業の管理体制が追及される事例も見られます。個人の投稿一つで企業の社会的信用が揺らぐ時代、もはや誰もが他人事ではない問題といえるでしょう。
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閉じた場が生む油断
多くは親しい間柄で使うことの多い「ビーリアル」や、インスタグラムの「親しい友達」機能といった、クローズドな環境での投稿から発生しています。限られた相手に共有される内容が、Xなど拡散力の高いSNSに転載され、瞬く間に広がってしまう。友人間で安心できるはずの場が、一転してリスクの起点となっています。
ただ、特定のSNSそのものが問題なのではありません。ビーリアルに限らず若者の間で広がっているSNSの多くは、似た特性があります。たとえば最近若者を中心にトレンドになっているSNS「セットログ」は、1時間に1回、2秒の動画を撮影し、最大12人の親しい友人と共有するサービス。通知が届いたタイミングで即座に撮影・投稿する仕組みで、飾らない日常を手軽に共有できる点が支持されています。
このように、若者は不特定多数に向けて発信する従来型のSNSよりも、親しい人との「深く狭い」つながりへと軸足を移しています。その背景には、他者からどう見られるかを意識し、過剰な注目を浴びることへのリスク回避があると考えられます。不特定多数の目に触れることへの不安から、安心できるクローズドな場へと向かう。しかしその安心感が、投稿内容への配慮を鈍らせる「油断」を生み、結果として問題を引き起こしているのではないでしょうか。
3人に1人がスクショ
実際の利用実態にも、その一端が見て取れます。SHIBUYA109lab.の調査では、Z世代の3人に1人は友人の投稿をスクリーンショットで保存しており、およそ約3人に1人はそれを他者に共有した経験があるという結果が出ています。グループインタビューでも、「実際はみんなスクショを撮っている」「LINEで送り合っている」と、クローズドな投稿であっても容易に複製・拡散され得る実態が浮き彫りになりました。つまり、たとえ親しい間柄であっても、SNS上に投稿された情報は常に外部へ広がる可能性を持っています。一度拡散されれば、企業に損害を与えるだけでなく、投稿者個人も特定や誹謗(ひぼう)中傷といった深刻なリスクに直面します。SNSを使う際は、この前提を理解して行動することが求められています。

企業側の対応も重要です。SNS利用に関する研修や啓発活動を継続することはもちろんですが、その内容自体を現状に即してアップデートする必要があるでしょう。「投稿前に一呼吸置く」といった指導が一般的でしたが、現在主流のSNSは「瞬間的に撮影し投稿する」ことが前提です。立ち止まって考える時間自体が存在しにくい構造になっています。
機密情報を安易に投稿することは、自分自身のキャリアや私生活にまで重大な損失があることをしっかり伝えていくことが求められます。加えて、職場におけるSNS利用のルールや禁止事項を明文化し、共有することも欠かせません。
SNSは今や日常の一部であり、完全に切り離すことはできません。だからこそ、その特性を正しく理解し、個人と企業がともにリスクと向き合う姿勢が重要になっています。

