「ひみつのきもの」 人と社会を手仕事でつなぐ《ちょうどいいといいな ファッションビジネスの新たな芽》

2026/07/31 11:30 更新NEW!


出店ブランドそれぞれとの協業商品も好評でした

 「ひみつのきもの」は、千葉県四街道市の住宅街にある縫製工場「ひみつのおしゃれ工房」が作るリメイクのゆかたです。地域で回収した古着を切り分け、パッチワークしたリメイクファブリックで作られています。

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 きものありきではなく、持続可能な運営体制と、生地の活用を検討した中で誕生しました。今年4月に東京キモノショーで初披露し、7月半ばにラフォーレ原宿で催事出店しました。

働き方に寄り添う

 代表の佐々木和枝さんは、「大好きな洋服作りを極めて、人の役に立つ何かをしたい」思いから、10年ほど前にひみつのおしゃれ工房を立ち上げました。アパレルブランドの展示会サンプル、小量生産などの縫製に携わります。今年4月に採用した社員1人のほか、子育てや介護、病気や障害などの事情から、一般的な働き方が難しい地域の人たちに、縫製工程の一部を依頼します。現在は15人の内職スタッフと福祉作業所が関わっています。それぞれの生活環境や、作業の得意不得意に合わせて作業を割り振ります。

「ひみつのおしゃれ工房」代表の佐々木和枝さん

 内職スタッフは、家庭の事情や体調による作業の遅れ、経験不足による間違いが生じることがあります。それらに柔軟に対応していくためには、納期や製品の仕上がりに「余裕を持って受け入れられる、自社製品の仕事も均等に入れていくこと」が必要だったそうです。「そうやって仕事を回していくと、みんながスムーズに仕事ができる」ので、自社製品も継続的に販売していきたいそうです。

 リメイクファブリックを生地として、またそれを使ったリボンやボタンといったパーツを製作し、販売してきました。生地をもっと活用したいと着目したのが、裁断時の廃棄が少ないきものです。きものに詳しい高齢の内職スタッフの力を借りて、ひみつのきものを製品化しました。

ゆかたを自由に着る

 今回の催事出店は、佐々木さん自らラフォーレ原宿に依頼したそうです。4ブランドに声をかけて合同開催しました。「ゆかた着ておいしいものを食べ行こ!」をテーマに、洋服とのスタイリングで日常のちょっと特別な日を演出。羽織りとスカートとして着用できる二部式のゆかたも製作し、自由にファッションを楽しむ人に届けることを目指し、手応えが得られました。

4ブランドで自由で楽しいゆかたコーディネートを提案しました
スタッフが思い思いに製作した食べ物のぬいぐるみがウィンドーを彩ります

 佐々木さんは、内職をお願いすることで、その方々が社会とつながり、働くことでやりがいや誇りを持って、生き生きと暮らしていける、そんな持続可能なシステムを作りたいと考えています。今後は、もっと広い場所へ工房を移して、内職スタッフを増やして、自宅だけでなく、集まって仕事ができるスペースを作ること、また商品の販売やワークショップもしたいと語ります。

工房には大量の素材がストックされています

■ベイビーアイラブユー代表取締役・小澤恵(おざわ・めぐみ)

 デザイナーブランドを国内外で展開するアパレル企業に入社、新規事業開発の現場と経営に携わる。14年に独立しベイビーアイラブユーを設立。アパレルブランドを中心に、ブランディングと事業推進を軸とした支援を行い、デジタルやデザイン領域まで横断的に手がけている。



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