11月にソーホーにオープンした「ナイキ・ソーホー」。本紙では11月22日付けにオープンについての記事が掲載されたが、その5階にできたバスケットボールコートが大人気になっている。
私が記事を書くためにオープン直後に行ったときはほとんど待たずに入れたが、その後は、4階まで行列が続いていることもあるほど。コートの前には常に人だかりができている。
このバスケットボールコートに入ってプレーするには、ナイキのシューズを履かないといけない。つまり、商品を試すためのスペースなのだが、人気が出ている理由は、単に「試着」に留まらない要素があるからだ。
プレーするお客は、基本的に1回につき1人しか入れない。そして、1人のお客につき、1人か2人のインストラクターがついて、5分くらいかけてインストラクターが一緒にプレーをするだけでなく、指導もするのだ。
コートの中にはベンチが置いてあって、家族はそこに座って写真を撮ることもできる。セッションの終わりには、大きなスクリーンに「Well Played」のフレーズとお客の名前が映し出され、それを背景に写真を撮ってもらえる。
ネット販売がますます進んでいるが、実店舗にとっては、「店に来ないと体験できない要素」をもつこと、特に「パーソナルな体験を提供すること」は、ますます重要になっている。
言い換えれば、その要素がない店には行く意味がないのでネットで買えばいい、ということになる。ナイキ・ソーホーには、小さいけれどサッカーができるコートもあって、そこでも常に誰かプレーしている。店も、どのフロアもよくお客さんが入っている。
アメリカのショッピングモールでは、クリスマスの時期になると、サンタクロースと一緒に座って写真を撮るコーナーがよく見かけられるが、中には犬や猫といったペットとサンタクロースの写真を撮れるようにしているショッピングモールもある。
そうしたことも、やはり実店舗に出向いていってこそできる楽しい経験だろう。今後も、「店に行かないとできない楽しい体験」のユニークなアイデアがどんどん出てきて、実店舗にもっと活気が戻ってくるといいと思う。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)