ブランドや商品の価値を伝える、ファンをつかんでいくために、周りとのコミュニケーションを大事にしながら、経験やスキルを生かしている。環境変化やニーズの多様化に応じ、これまでの取り組みや雰囲気を変えることも必要だとして、面白みやモチベーションを力に奮闘している。
ファッション意識を上げて
総合衣料品チェーン専門店の田原屋(神奈川県川崎市)に中途入社した太田篤志郎さん。全国展開するセレクトショップからの転職で、婦人トップ/ボトム/スポーツバイヤーとして奮闘する。前職とは業態や扱い商品は違うが、「自分の持ち味を消さないように」と、店舗や取引先とコミュニケーションを大切にしながら、新しい血を入れられるように取り組んでいる。
畑違いに飛び込む
太田さんは24年9月入社で、新卒で入った前職では販売スタッフからキャリアをスタートし、店長や新ブランド立ち上げ、マーケティング、ブランドMD、マネジャーなどを経験してきた。田原屋とは、業態や商品、単価、客層などこれまでとは違う。だが、お客との情報格差がなくなり、「ブランドや屋号に頼らない形の仕事をやってみたかった」と、畑違いの環境に飛び込んだ。
初めは現場を知るために、店頭や店長などを経験し、25年9月から本部勤務。日常や実需品に近い商品を扱う中で、「クオリティーを上げて、全体のファッションを底上げする」ことで、中価格帯での商材で勝負できるようにしていくことを目指している。「当社の商品を着用すれば、可愛くなれる」ような、ブランドではなくトータルでおしゃれを提案する。
現在、婦人のトップなどを担当しながら、スポーツ部門のアクティブラインでスポーツカジュアル「グレーススピーブ」レーベル立ち上げに携わった。経験のない部門だったが、店頭の動きや前任者からの聞き取りなど、学びながら進めていった。また、取引先への相談やアイデアを聞くなど、カジュアルウェアと差別化できる商品企画に努めている。
6月から新ラインが店頭に導入、まだまだ認知が低いため、お客に「こんな商品がある」と、認知拡大が今の課題だ。店舗では、単品の打ち出しを基本に、程よくトレンドを取り入れた「サフェーズ」やヤングファッション「アピ」とのコーディネートで見せていきたいという。現場からは「新しい」「カワイイ」と聞くなど、成長させていきたいと意気込む。

挑戦できる環境
入社の決め手の一つが裁量規模が大きく、基本的にやりたいことは肯定してもらえ、チャレンジできる環境があること。入り口から否定されることはなく、会社にはまだ出来ていない部分もあると感じているため、経験やスキルを生かした新しい取り組みができ、「前向きにやっていける」ので楽しくモチベーションにつながっている。
「パシオス」には年齢や生活スタイルが違う様々な人が働いている。売り上げ拡大に向けて店舗をまとめるなど、店長のスキルに依存している面もあるという。バイヤーは商品の企画、導入で後押しすることが重要で、バイヤーも店長も一緒に学び、「お互いに成長していきたい」と強調する。店長にはサンプルを見てもらい、「このような商品をやりたい」と打ち合わせをする一方で、逆に「このような商品はやらないのですか」とアイデアをもらうことも。現場を見ている意見や情報を大事にコミュニケーションを取っている。
太田さんは「畑違いが周りに、いい意味で波及できることもある」という。例えば、商品会議で商品をきちんとファッション用語で説明するなど、扱う日用品に合わせるのではなく、ミリタリージャケットの形など、ファッションを習慣付けていくとこにしている。また、水・木・金曜日のカジュアルデーには、ギャルソンのジャケットなど、なるべく良い服を着用して出社する。「ファッションをどっぷりやっていました」感で刺激を受ける人が一人でもいれば良いという。ファッションを扱う企業なので、個々人のファッションのスキルアップが必要と考えているからだ。それが一つの自分の役割りとも思っている。社では明るい雰囲気に、社員・仲間が集まってきているという。
(繊研新聞本紙26年9月18日付)
