《視点》それでも賃上げ

2023/01/24 06:23 更新


 22年12月の国内企業物価指数が過去最高になった。原材料やエネルギー高騰の価格転嫁が自動車部品や電気機器などで進んだためというが、全産業に及んでいるわけではない。UAゼンセンの調査によると繊維加工、染色の職場では値段の話をクライアントに聞いてもらえないことはないようだが、7割が転嫁が50%にも達していないという。どこも苦しいから、さもありなんという話だが持続可能とは言えないし、これでは循環しないのは間違いない。

 どこも苦しいのはなぜか。賃金が上がらないため消費者に値上げを受け入れる力がないからというのは分かっている。そこでファーストリテイリングをはじめとしていろいろな企業で賃上げがアナウンスされるようになった。危機感の共有が進んでいるといえ、さらに広がることが期待される。

 もちろん実際は、あるものを分けるのではなく、ないところから何とかしなければならない企業がほとんどだろう。それでも賃金を上げなければならないのは苦しいところだが、消費者として買いたくても買えないものがこれ以上増えてしまってはもっと苦しくなる。

(光)



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