プレッピーな服好きの男性たちが秘かに始めた草の根ガレージセールが徐々に規模を拡大し、メジャーなブランドも注目するまでになっている。その名は「アルファゴスマーケットプレイス」。トライベッカのメンズウエアストア「アーモリー」で副店長をしているステファン・カーソンさんが、友人と４人で始めた。カーソンさんはアーモリーの前はＪクルーで店長をしていて、その前は教師をしていたという。一緒に始めた友人たちはＪプレスで販売員をしている人、フォトグラファー、服好きの不動産ブローカーだ。
初めて開催したのは2021年9月。コロナの影響がまだ濃かった時期だ。カーソンさんは以前から新品、古着、ビンテージを一緒に売る店をやりたかったという。それをフルタイムで、あるいはオンラインでやっている場はあるけれども、ポップアップショップとしてやっていてプレッピー、クラシック、ビンテージ、ミリタリーのメンズに特化したところはないと感じ、「アルファゴスマーケットプレイス」を始めた。アルファゴはカーソンさんの父親の名前だ。
最初に始めた時は日曜日のみの開催で6～7ブランド。イーストビレッジの小さな店の１階と地下でやらせてもらっていたが、規模が大きくなり、その向かいのイベントスペースに移転。今は土日の２日間で20ブランドが参加、頻度は年８～10回となっている。
6月末に行われた時は、ローリングブレイザーズのサンプルセールもあった。シグニチャーアイテムの1つとなっているカラフルなセーターは一律50ドル。その前はJプレス、ブルックスブラザーズがサンプルセールで同様にコラボした。ブルックスブラザーズはブルックスブラザーズのビンテージも売ったという。メジャーなブランドが、人出が多く新しい顧客を獲得できる可能性が高いとふんだからこそ実現したコラボだ。
カーソンさんに、「特に人気があってよく売れているブランドはありますか？」と聞いたところ、「Wooden Sleepers」の名前が挙がった。出展者たちの中には本業が別にある人が少なくないが、Wooden Sleepersはフルタイムでやっている。オーナーのブライアン・デービスさんによると、オンライン販売の他、トッド・シュナイダーにも売っている。かつてはJクルー、Jプレス、ポロラルフローレンに売っていたこともあるそうだ。
デービスさんがアルファゴスマーケットプレイスに出展したのは、今回が3回目。かつてはブルックリンのレッドフックに店を構えていたが、コロナで閉店した。デービスさんは、「小売店のもつエネルギーが懐かしい。ここに来るのが好き。お客さんたちは実に賢く情報にあふれていて、非常に素晴らしいスタイルと目をもっている。メンズウエアの業界人も多く、プロフェッショナルな会話ができる場所。企業がやっているトレードショーとは違ってピュア。みんな純粋にヴィンテージ、古着、メンズ服が好きな人たちなんだ」と語る。
カーソンさんが「Ryo のところも売れているよ」と言うので、「LIC Vintage Clothing」の名前で古着を収集して売っている柴山涼さんにも話を聴いてみた。アルファゴスマーケットプレイスのインスタグラムのフォロワー数は現在は7200人を超えているが、柴山さんが出展し始めた去年1月頃は1000人くらいだったという。柴山さんによると、出展するたびに来場者数が増えていて、年齢層は20代から30代が多いが、それより若い人も年配者も来る。出展している人たちは若い人が多く、コミュニティーをつくっている感があるそうだ。
今回は暑くなる時期だったので軽装で来る人が多かったが、秋冬になると、お客さんたちはみんなネクタイしてキメキメで来るとか。コロナでリラックスしたカジュアルな格好が広がったが、アルファゴスマーケットプレイスに来る人たちはそれと対照的なほどドレスアップしてくるそうだ。次回はちょっと寒くなった時期に来て、お洒落なプレッピー好きの男性たちの服装をじっくり見てみたいと思う。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして（!?）つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました（ブログはこちらからどうぞ）
