「ヨシオクボ」の21~22年秋冬は、日本の美の理念の一つ「幽玄」をテーマにした。神社、仏閣といった建築物、森林のコケや古木を見て感じる「現在の姿の裏側にある、過去と未来を感じる美しさ」をデザインに反映させた。
ベースはブランドらしいゆったりとしたシルエットに、スポーティーな要素を加えたモダンなウェア。そこに、得意とする複雑なパターンや色彩で幽玄のエッセンスをミックスする。例えば、フロントをねじるようにして流した別布で切り替えたプルオーバー(3万8000円)は日本の伝統的な建築に見られる曲線や傾斜を、潔いカッティングが際立つノーカラーのジャケット(5万2000円)は質素な装飾に見られる静の美しさを映している。
洗い加工したGジャンは、形あるものが朽ちていくような風合いを色で表現した。コレクションの中で効果的に使う朱赤も、神社の鳥居からインスパイアされたものという。
シーズンをまたいで人気のアイテムは、素材をアップデートした。斜めに走らせた前合わせのダッフルコート(8万5000円)、巻き方しだいでウエストバッグやショルダーバッグになる 「どこでもバッグ」(1万2000円から)が今回も登場している。
(ライター・松本寧音)