《16年春夏ロンドン・メンズコレクション》新しいテーラードスタイルを探る
ナチュラル素材の量感フォルム/JWアンダーソン
【ロンドン=小笠原拓郎、若月美奈通信員】16年春夏ロンドン・メンズコレクションは、ストリートを背景にしたスタイルに新鮮味が出ている。ロンドンのクリエーションの背景となる二つの軸、「テーラーリングとストリートカルチャー」のうち、ストリート寄りのクリエーションに新しさを感じることができる。
テーラードをベースにするブランドは、今の時代にふさわしいテーラードスタイルを模索しているが、なかなかそれを打ち出すことができないでいる。ブランドのオリジンをベースにしながら、今のスタイルをどう組むかが問われている。
JWアンダーソンは、ワークウエアを背景にした構築的なフォルムを見せた。デニムやリネンなどのナチュラルな素材感を生かして、新しい量感やバランスを作り出す。デニムパンツはマルチタックをとってワタリにボリュームを入れ、レザーのジャケットは深いダブルの合わせからフロントにドレープを作る。
ブルゾンやトップの胸元にはスパナのモチーフのアクセサリーが揺れ、ニットにはタイポグラフィーが描かれる。その色合いやモチーフは、どこかロシアンアバンギャルドを思い出させる。ペグトップのようなフォルムのパンツにアクセントをつけるのは、赤いアンクルストラップのシューズ。スクエアトウのバレエシューズを変形させたようなデザインは、今までのメンズシューズには見られなかったもの。
フェザーモチーフのアップリケをしたチュールトップも、ジェンダーの境界を感じさせない。白とミントグリーンの花柄セットアップやシャツもいかにもジョナサン・アンダーソンらしい色使い。デニムパンツやレザーコートに、白いガーゼのような布をラップしたディテールも特徴だ。
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