次世代を担うストリート目線のラグジュアリー
ファッション界に漂う閉塞(へいそく)感を拭い去る若いパワーや粗削りなストリートの気分が注目された16~17年秋冬コレクション。ロンドンではそれを担う若手がプレゼンテーションで新作を発表している。公式スケジュール入り3、4シーズンを迎えるデザイナーたちは、独自の世界を明確にアピールしながらも、次なるステップに踏み出し始めた。その試みが成功したか否か、今回は明暗がはっきり見えたシーズンだった。その次の世代も登場し、若手の競演がにぎやかになってきた。(ロンドン=若月美奈通信員)
マスキュリン・フェミニンなレイヤード(フィービー・イングリシュ)
今回、一歩抜きん出た印象を受けたのは「フィービー・イングリッシュ」。10シーズン目ということで10人のモデルで10スタイルを見せた新作は、アシンメトリーなアイテムのレイヤード、白黒の切りっぱなしのシルクテープをネットに織り込んだハンドメード生地やラテックスなど、シグネチャーを前面に出しながらも、より洗練された。
ネービーブルーやシャツといったマスキュリンな要素も加わったが、そのシャツやシャツドレスは襟元や袖口が切りっぱなしで、左右のボリュームが違うなど斬新なデザインは健在。「ロングスカートなどフェミニンな服は男っぽいモデルに、スポーティーなジャケットはフェミニンなモデルに着せてバランスをとった」とイングリッシュ。様々な部分でバランス感がさえたコレクションといえるが、無難に落とし込むことなく自らの世界を力強くアピールしている。