ハンドクラフトのフェミニンスタイル
【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】16~17年秋冬ニューヨーク・コレクションに、ハンドクラフトの技術を取り入れたフェミニンなスタイルが広がった。ペプラムディテールのフレアラインのドレスやコート、カーブしたパーツを接ぎ合わせたドレスなどで女性らしさを強調する。
スタンダードを多彩な変化で/マイケル・コース
マイケル・コースは、スタンダードスタイルとその変化で軽やかなムードを運ぶ。フェザー刺繍のデニムパンツに飾りボタンのピージャケット、ブロケードパンツに白いシャツ。シンプルなラインに上質な素材を組み合わせていく。ツイードのコートにはファーのトリミング、花柄を象眼で描いたファーコートなど、ぜいたくな素材をポップな気分で表現する。グレーのニットパンツのセットアップのリラックスした気分を、ファーのコートが優しく包む。
ドレスは、ヘムに細かなスラッシュを入れて短冊状の布の動きを作ったり、リングパーツとカットアウトのディテールで素肌を見せたり。ツイードタッチと軽やかなフェザーの動きの対比、スパンコールやブロケードの光沢、スリットやカットアウトの透け感、そんな多彩な表現でスタンダードスタイルを彩った。
ピーター・コッピングによるオスカー・デ・ラ・レンタは、再びクラシックなエレガンスへと振れた。前シーズン、クラシックを背景にぐっとモダンで軽やかなラインへと変身したが、秋冬は重苦しいラインへと戻ってしまった。アメリカの上流階級のためのコンサバティブなエレガンスを意識したのだろうか。
ペプラムラインのスカートやコートにボーンでウエストをシェイプしたブロケードドレス、ファーの小さな襟を飾ったジャカードのスーツといったエレガントなアイテムが揃う。シルクタフタ、シルクサテン、ファー、ブロケード、チュール、豪華な素材をハンドクラフトのテクニックで作り込む。クラシック過ぎて日本の市場にはまるアイテムは限られる。