パンツルックのリアルスタイルから手仕事のドレスまで
【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】16~17年秋冬ニューヨーク・コレクションに、パンツルックのリアルなスタイルからハンドクラフトを生かしたエレガントなドレスまで幅広いスタイルが登場している。メンズコレクションに続いて、アイテムの再構築によるデコンストラクトのデザインとレイヤードルックが目立つ。
ギャザースリーブのエレガンス/デレク・ラム
デレク・ラムは、彫刻家のアレキサンダー・カルダーと写真家のリチャード・アヴェドンの作品からイメージを広げた。パンツスーツからスタートしてドレススタイルへとつながっていくコレクション。ショルダーラインが特徴で、ブラウスやドレスの肩の部分にギャザーを入れて丸みのあるラインを描く。
ニットドレスは糸くずが付いたようなグラフィカルな柄。そのグラフィックな柄がカルダーの作品からのイメージだという。ミンクのコートやトップにも、バイアスチェックでグラフィカルな柄をのせる。モヘアのブークレでふわふわとした毛足を強調したコートやボマージャケットの一方で、クロシェニットのドレスは透け感と輝きを重ねてみせる。トッグルボタンのディテールのコートやケープから、チュールを重ねたイブニングドレスまで多彩なエレガンスを表現した。
アルトゥザッラはジム・ジャームッシュの映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」とパッチワークの世界からイメージした。インドのペーズリーとベネチアンパール、モロッコやトルコの民族衣装を背景にしながら、ストリートスタイルのリアルな女性像に仕上げていく。スカーフのようなパネルプリントやパネルの切り替え、フリンジ飾りといったディテールが特徴的なコレクション。
マスキュリンなボマージャケットや小花柄で切り替えて可憐な雰囲気に、Aラインのコートはウエストからバックにグログラン刺繍を飾ってシェイプを強調する。パンツルックは細身のテーパードとフレアの両極がある。スカートやドレスは、サイドのスリットを入れた膝下丈とやハンカチーフヘムのロング丈。それぞれで布の動きを強調して、作り込んだエレガンスを軽やかに見せた。