《16年春夏ニューヨーク・コレクション》エフォートレスなムードが主流に
レッドカーペットで見せるエキセントリックなパワー/マーク・ジェイコブス
【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】16年春夏ニューヨーク・コレクションはエフォートレスなムードが主流となった。ニューヨークブランドが得意とするユーティリティーの要素は依然としてあるものの、ナチュラルでリラックスした気分を取り入れたブランドが増えた。
マーク・ジェイコブスがショー会場に選んだのはブロードウエーの劇場。劇場の外側にはレッドカーペットが敷かれ、そこをモデルたちが歩いて場内にたどり着く。生バンドの演奏の中、登場したモデルたちは、ラグジュアリーな素材感とエキセントリックなパワーが混在する服をまとっている。「マーク・バイ・マーク・ジェイコブス」のラインを吸収したこともあってか、パンクの要素を感じさせるカスタマイズのディテールが目立つ。
セーターはバックにダーツを入れてビジューで留め、ラメフリンジのラップスカートコーディネート。ビジュー刺繍のセーターもところどころに穴があいたようなディテールになっている。アンディ・ウォーホルのシルクスクリーンのようにたくさんの人の柄をプリントしたドレスやスカートなど、ポップな柄が激しく主張する。スタジアムジャンパーにたくさんのバッジを飾り、レザージャケットはバックにピンナップガールのパロディーが描かれる。
ドレスはレースや刺繍、スパンコールなどをふんだんに使った上質なエレガンス。しかし、それをただのエレガンスにするのではなく、DIY(日曜大工用品)のようなハンドクラフトのディテールをミックスすることでキュートで力強く変身させている。会場内で配られるポップコーンの包装紙やパンフレットも作り込むなど、ショーのパッケージング全体の完成度が素晴らしく高い。
(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)