17年春夏ミラノ・コレクション
さまざまな時代や場所をミックス ルネッサンス、シノワズリ、ロココ、スポーツ
【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】17年春夏ミラノ・コレクションに、さまざまな時代や場所をミックスしたスタイルが広がっている。ルネサンスとシノワズリ、ロココとスポーツやユーティリティー、ナバホ族ときものなどを組み合わせて見せる。装飾を重ねながら、それぞれのブランドらしさのなかに収めるのが特徴だ。
ピンク色のメタリックなカーテンに仕切られた絨毯(じゅうたん)のステージに、グッチの叙情的なスタイルが広がった。アレッサンドロ・ミケーレによって、詩的で装飾的なスタイルへと生まれ変わったグッチは、春夏もファンタジックな75ルックを揃えた。
ラメ、グリッターの光沢をプリーツやストリングスにのせ、ドレスやスカートを彩る。重厚なラメジャカードのドレスやシルクシャンタンのドレスにタイガーやウルフ、サル、ドラゴンなどの刺繍を重ねていく。シノワズリの要素も感じさせるスタイルに、ヘッドピースやオペラグラスといったアクセサリーでノスタルジックな彩りを添える。
アーカイブからの引用はキューブ状のモチーフをプリントしたGキューブ柄。紋章柄のスパンコール刺繍など、中世の要素や古い航海図を思わせるモチーフもある。ドレスやトップに刺繍とともにのせられた「CEMETERY」(墓地)、「LOVED」(愛していた)といった言葉が、その柄とともにタロットカードのようなミステリアスな世界へと誘う。
おそらく、今回のミラノ・コレクションに集まる人たちが最も着ているブランドとなったグッチ。果たして、その影響力をこのまま維持できるのか。あるいは、ミケーレの変わらない世界がそろそろ飽きられてしまうのか。市場の結果を待ちたい。
(写真=大原広和)