改めてユーティリティーに勢い
【ミラノ=小笠原拓郎】17年春夏ミラノ・メンズコレクションに改めて、ユーティリティースタイルが広がっている。トレンドの強弱はありながらも何年も続く「機能性」のデザイン。春夏はまたしてもユーティリティースタイルが勢いづいている。
軽快なアウトドアスタイル/プラダ
金網でできたスロープをゆっくりと登ってくるスポーツスタイルのモデルたち。プラダは90年代の「プラダスポーツ」のように、スポーティーなアウトドアイメージを揃えた。シャツ襟のセットアップスタイルにリュックを背負い、蛍光色のナイロンコートをアクセントにする。ジャージーのクロップトパンツにダイビングシューズのようなスポーティーな靴、カウボーイのようなハット。それは、ロックフェスティバルの会場で見るような、しゃれたアウトドアスタイルだ。
水筒にサンダル、ヘアバンドといったアクセサリーもある。シンプルなスポーツスタイルだが、チェック柄や天気レーダーを移したようなアブストラクトな柄のコートが変化を作る。確かに今の市場の中で、機能性に特化する傾向は再び強まっている。しかし、そこからロジカルにひねりを利かせるのがミウッチャ・プラダの手法のように思える。そう考えると、春夏コレクションは、やや単純で肩透かしといったところであろうか。売りやすいコレクションではある。
モンクレール・ガム・ブルーの会場に入るとキャンプファイアの横にテントが並んでいる。ベージュのパーカを着たモデルが整列した後、一人ひとりがパーカを脱いで歩いていく。それはボーイスカウトを背景にしたスタイル。全身ベージュのトーン・オン・トーンのシリーズに始まり、大柄チェックのシリーズ、カーキと黒のコーディネートのシリーズへと続く。リブやキルティング、エナメルコーティング、ワックスコットン、メッシュ、アストラカン、さまざまな素材を半袖ジャケットやケープ、ハーフパンツといったアイテムへとのせていく。たくさんのポケットディテールが特徴となる。ジャケットの身頃や袖にはもちろん箱ポケットがたくさん付き、ケープは大きなフレアラインの箱ポケットが付いてユーモラス。
ヴェルサーチのショーは、ブルース・ウェーバによるダンサーたちのキャンペーンビデオからスタートした。春夏は、ここ数年の中で最もスポーティーで機能性を強調したアイテムが揃う。ナイロンのフルイドコート、プリントパーカ、カットワークレザーのコートやブルゾン、レギンスにアノラックといったアイテムが次々と登場する。スカーフのようなパネルプリントをのせたパーカやジャケットもある。キーカラーはグリーン、ネイビー、ブラウン、ベージュ、パープル。
(写真=catwalking.com)