【ミラノ=小笠原拓郎】17年春夏ミラノ・メンズコレクションは、カーキからベージュにかけての砂漠の乾いた色を生かしたスタイルが広がっている。そこにオリーブなどのグリーン系とブルーやネイビーを組み合わせて見せる。
マリン、スポーツ、オリエンタルにビンテージの気分をプラス…グッチ
グッチのショー会場に入ると、中はグリーンの空間になっており、カーペットには巨大なヘビが描かれている。そんな空間で、春夏もアレッサンドロ・ミケーレらしいロマンティックなコレクションを見せた。
トラッドにマリンやスポーツ、シノワズリやジャポニズムを組み合わせながら、どこかビンテージの雰囲気を醸し出す。シノワズリのセットアップはきらびやかな柄と透けるタイツの組み合わせが新鮮。竜やウサギ、犬といった生き物たちのぜいたくな刺繍がニットベストやシャツ、ジャケットに描かれる。
デカダンとユーモアのバランスの表現は、白いシャツに施された花の刺繍とタキシードに描いたドナルドダック刺繍。そして、節糸のシルクコートやサテンのガウンとともにスポーツソックスやスポーツトランクスが振れ幅の大きさを物語る。パンツの多くは膝と足首の中間に近い丈のクロップト。ジャケットやパンツには畳みじわのようなクリースが入ったものもある。
ビンテージ感を背景にした多様なスタイルを適切に表現するのは難しい。しかし、この多彩な振れ幅とレトロなムードこそがミケーレのグッチであり、今の市場の中でオリジナルのポジションを持っている。とはいえ、これが今の時代の新しい男性像なのかと問われると、違和感もあるのだが。