【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17年春夏ニューヨーク・コレクションは、「シーナウ・バイナウ」の流れが本格的に始まったことから、17年春夏コレクションと16~17年秋冬コレクションが混在するシステムとなった。顧客に向けたショーの動きが強まる中で、今後のニューヨーク・コレクションのあり方が問われている。メディアやバイヤー向けの春夏コレクションでは、ニューヨークらしいユーティリティースタイルやデコンストラクトなラインが広がった。
マスキュリン&フェミニンを軽やかに/アレキサンダー・ワン
アレキサンダー・ワンはマスキュリンとフェミニン、スポーツと官能性の間で遊んでみせる。ストライプシャツの軽やかなコットン地でミドリフトップやショートパンツのセットアップを作り、スーツ地のようなストライプの生地はレースのトリミングをしながらドレスやジャケットに仕立てる。
ブラトップのような官能的なアイテムも布を重ねて軽やかに。デニムのセットアップにはスラッシュを入れ、ブラウスにはイバラのようなプリントでハードな要素を取り入れる。ワンらしいスポーツミックスではサーフスタイルからの影響が感じられる。ネオプレンのようなタッチのドレスにダイバーが着るようなブルゾン、スパンコールのドレスにもビーチサンダルをコーディネート。
とはいえ、パームツリープリントのスウェットパーカなど、リアルなアイテムもいっぱい。ここ数シーズンの中では、やり過ぎずにすっきりとしたスタイルに仕上がった。
色と布の動きを生かして/シース・マルジャン
シース・マルジャンのショーには、デビュー2シーズン目にもかかわらず、インターナショナルなプレスが勢ぞろいしている。というのも、すでにコレットやバーニーズといったショップが仕入れ始めており、知名度が一気に上がったからだ。
春夏は鮮やかな色のバリエーションと布の動きを組み合わせて、シンプルなラインに変化を作った。イエロー、ピンク、ブラウン、カーキ、グリーン、ネイビー、基本的にトーン・オン・トーンの全身ワンカラーのコーディネート。
サテンやグリッターの光沢とウオッシュされたしわ感、シアサッカーのストライプといった素材が軸となる。クロスモチーフやフルイドテープ、布の折り返しといったディテールがシンプルなドレスやブラウスに動きを作る。
リアルなスタイルが今の時代にマッチしているのかもしれない。デザイナーのサンダー・ラクはブルネイ生まれで、母国オランダで育った。セントマーチン美術大学の修士課程終了後、ニューヨークをベースにブランドを立ち上げた。