【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17年春夏ニューヨーク・コレクションは、女性らしさを強調しながらも、強さをアピールする傾向が広がっている。オフショルダーやデコルテを意識させるカットで女性らしさをアピールするのだが、どこかで芯の強さを感じさせるラインに仕上げている。
女性らしさに強さ加えて
アルトゥザッラはハードなパイソンとフルーツ柄を組み合わせて、キッチュでロマンティックなコレクションを見せた。
パイソンのジャケットやコート、スリットスカートといったゴージャスなアイテムのコントラストとなるのは、チェリーやパイナップルの刺繍やプリント。チェリープリントのラッフルドレス、ギンガムチェックのコートなどが軽やかなラインを作る。大きくデコルテを開けたドレスやニットに布を重ねたブラトップで素肌を見せて、フェミニンながらエッジを立たせていく。スカートの裾にはフリルを飾って、変形のマーメードに。官能的なアイテムとパイソンの迫力が、単なるフェミニンな雰囲気ではなく不思議な強さとなって現れる。コレクションの背景には、デヴィッド・リンチの映画「ワイルド・アット・ハート」がある。逃亡劇を繰り広げるカップルのイメージから作った世界。
プロエンザ・スクーラーはプリーツ状の布をバイアスに流したフルイドラインと、鮮やかなカラーブロックやストライプを組み合わせた。
ニットトップやニットドレスにはボーダー状のストライプとカラーブロックを取り入れ、プリーツのスカートもバイカラーの布をバイアスに流して動きを作る。ドレスはフロントにテープ状の交差のディテールを入れたり、リボン状に布を結んだりして素肌を見せる。アシンメトリーに流れるプリーツスカートもプリント柄で布の動きを強調する。ジグザグ柄のファートップやファーコート、カットワークのニットトップも。その柄と布の動きは数シーズン前の「セリーヌ」を思い出させる。
(ここまでの写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)
エネルギッシュでエフォートレス
「ダイアン・フォン・ファステンバーグ」は、ジョナサン・サンダースをクリエイティブディレクターに据えて最初のコレクションをプレゼン形式で見せた。
ダイアン・フォン・ファステンバーグのアイコンともいえる柄とラップドレスをジョナサンらしい力強い柄で進化させた。柄は大きなフラワープリントやスカーフのようなパネルプリント。ラップドレスはジョナサンらしい縦長のシルエットが増えている。そのシルエットに変化をもたらすのは、折り返しのディテールや斜めのラッフル。ハイウエストのワイドパンツはウエスト部分をアシンメトリーに折り返す。
ブラウスやドレスはショルダーから斜めのラッフルが揺れる。「エネルギッシュで女性らしいムードで、女性の持つ強さや自信を引き出す服。エフォートレスで創造性に富んだ服を作るのが第1ミッション」とジョナサン・サンダース。