ノスタルジックなムード
【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17年春夏ニューヨーク・コレクションは、ノスタルジックなムードを背景にしたフェミニンなスタイルが目立つ。50年代、60年代、70年代など時代背景は様々だが、そのノスタルジックなムードやぬくもりがコレクションに厚みをもたらしている。
西海岸と東海岸の出会い/トリー・バーチ
トリー・バーチが描いたのは、アメリカ西海岸と東海岸の出会い。伸びやかでクリーンな配色で見せる西海岸のフリーダムスピリット、そこに厳格なプレッピースタイルを組み合わせていく。
フラワープリントとビジュー刺繍、ロープやヨットのプリントやジャカード、マクラメ編みのスカートやカフタンドレス。ノスタルジックな気分の柄やアイテムが目立つ。プレッピーの要素はパイピングのジャケットやトリミングのカーディガン、チェックのパンツスーツ、パール刺繍のケーブルニットなどで取り入れる。
足元はモカシンディテールとチャンキーヒールを組み合わせた。グリーンやピンク、白、オレンジといったキャッチーな配色で、躍動感のあるスタイルに仕上がった。
3.1フィリップ・リムのショー会場には砂が敷き詰められ、花が無造作に置かれている。そこに登場するのはノスタルジックな雰囲気をはらんだロマンチックスタイル。
フラワープリントや花刺繍の白いドレスやスカート、サテンのボウリングシャツなど、懐かしい雰囲気のアイテムをスタッズやジップで引き締める。ギャザーやストリングスを使ったブルゾンやコート、ブリーチデニムのミニドレスなどはアクティブなイメージ。ジップで部分的にスラッシュを入れたドレススタイルなど、アクティブな装飾でリアルな空気を取り入れた。
トム・ブラウンは、トロンプルイユで描くエレガンスを見せた。タイルで描いた海の風景の会場に、トロピカルフラワー柄のコートと帽子をまとったモデルたちが現れる。そのコートを脱ぐと、すべてパステルカラーの世界。
ジャケットやコート、カーディガンとスカート。様々なコーディネートスタイルに見えるが、よく見るとすべてがトロンプルイユのワンピースだ。ファーやエナメルなどアイテムごとに生地や色を切り替え、様々なアイテムを一つのピースの中にとじこめる。そのシルエットは、60年代イメージのトラペースやストレート。フィナーレはモデルたちがワンピースを脱ぎ捨てて、下に着ていたトリコロールの水着でビーチへ。
(写真=catwalking.com)