【ニューヨーク=小笠原拓郎、杉本佳子通信員】17年春夏ニューヨーク・コレクションに、ノスタルジックな気分とボリューム変化が広がっている。フォークロアの要素を取り入れて優しい雰囲気に仕上げたり、袖や肩にボリュームを取ったりしたデザインが増えている。秋冬のビッグトレンドでもある「エクストリームシルエット」が今後どうなるか注目だ。
ビッグシルエットとレトロなムード
マイケル・コースはバンドの生演奏をバックに見せた。ボーカルとして登場したのはルーファス・ウェインライト。ジャズバンドのライブ演奏をバックに歌い、優雅な雰囲気を作り出す。春夏の特徴といえるのがショルダーやスリーブのボリューム感。テーラードジャケットやトレンチコートに花柄のコートやドレス。肩にパッドを入れてスクエアにしたり、コンケープドショルダーのように膨らみを持たせている。襟腰の高い大きな襟のシャツは、幅広いカフスで手のひらを隠す。そこに組み合わせるセーターもずるずると長い袖だ。そんな量感とともに花柄のドレスやスカートを合わせて、ロマンティックな気分を加える。花柄のジャカードやニットのセーターの上には、プラスチックの花を刺繍で重ねる。一点完成させるのに900時間を要したドレスもあるという。服7型、バッグと靴各3型はウェブサイトとマジソン街店、ブリーカーストリート店で期間限定で即買いできるようにしている。
コーチの会場に入ると、ボロボロの廃車となったクラシックカーが何台も積まれている。そこに登場するのは、アメリカのベーシックなアイテムをベースにしたガーリースタイルだ。ハードなレザーやミリタリーアイテムと繊細なチュールやオーガンディを組み合わせて見せる。フェザー飾りやアップリケをつけたバイカージャケットをチュールスカートと合わせ、スタッズやフリンジ飾りのコートはミニスカートとコーディネート。レザーフリンジを飾ったミリタリーコートやバイカーディテールのレザーをボンディングしたポンチョなど、アメリカのベーシックアイテムを異なる切り口で変化させる。エルビス・プレスリーのアップリケをしたトレーナーやサメ柄のジャカードニットなどで、ポップな雰囲気をプラスした。
(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)