【パリ=小笠原拓郎、青木規子】17年春夏パリ・コレクションに、ギャザーやドローストリングスでドレープを作るスタイルが広がっている。ウエストや襟元、袖口などにストリングスを入れて絞ってドレープを流す。縦や斜めに流したフリルやフリルテープのディテールも目立つ。
メゾンの技術背景に若々しくキュート…ヴァレンティノ
ヴァレンティノをデザインしてきたデュオがたもとを分かち、ピエール・パオロ・ピッチョーリ1人によるデザインとなった17年春夏。そのクリエイションはいったいどうなるのだろうと心配していたジャーナリストは多い。しかしふたを開けてみれば、全く心配なしの安定感。いや、それ以上に若々しく可愛いラインでイメージを刷新した。
英国のテキスタイルデザイナー、ザンドラ・ローズとコラボレーションした色や柄がヴァレンティノのハンドクラフトとあいまって、若々しく楽しいコレクションになった。ハートに突きささるナイフの柄、鮮やかなピンクのバリエーション。そこにヒエロニムス・ボスの絵からイメージしたプリントが加えられる。
リネンコートには繊細な鶴の刺繍、プリーツドレスはベルベットとシフォンとレースを丁寧にはぎ合わせる。レザージャケットには繊細な風景画が象眼や刺繍で描かれ、極薄のナッパレザーはその量感を丁寧に畳んでプリーツドレスに仕立てる。作り込みながらも重くなく、ポップで軽やかに仕上がったのが、今の時代にばっちりとはまった。
セリーヌは毎シーズン使っているテニスコートのしつらえをがらりと変えて、無機質な白い空間にダン・グラハムのアート作品を並べて新作を披露した。マスキュリンなジャケットスタイルとフェミニンなロングドレスが軸で、いずれも強さを兼ね備えた大人の女性のイメージだ。ジャケットはプレスプリングに続きビッグシルエット。スクエアショルダーが張り出し、襟やラペルも大きい。合わせるパンツは、下に着たシフォンのパンツをレイヤード。繊細な揺れやカプリパンツのフレアのラインが女性らしさを際立たせる。
ドレスは、女性の体をこれまでにない切り口で強調している。バストやウエストなど膨らみの部分だけに色を乗せ、ロールシャッハの絵画を思わせる左右対称の抽象柄を描く。コットンドレスは、バスト部分だけビュスティエ風に透けるネットに切り替える。色は白黒に加えて、ピンクやサックスブルー、レッド、ライトグリーンといった鮮やかな色のカラーミックス。
(写真=大原広和)
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