【パリ=小笠原拓郎】17年春夏パリ・メンズコレクションはユーティリティーアイテムの広がりの一方で、テーラードスタイルをタイドアップせずに、ノンシャラン(気軽に)で着こなすイメージも登場している。ベージュやブラウン、イエロー、カーキなどの乾いた色がメインカラーとなっている。
トロンプルイユのサマースタイル…トム・ブラウン
トム・ブラウンのショー会場には黒い砂のビーチがしつらえてある。そこに登場するのはサメのマスクと背びれを付けたグレーのテーラードスタイル。続いてグレースーツをトロンプルイユで描いたボリュームたっぷりのダイバースーツだ。カモメのフェザースーツを着たモデルが舞うように出てくると、グレーのダイバースーツのモデルたちは順番にそれを脱ぎ始める。下に着ているのは鮮やかな色のコートやジャケットのスタイル。しかし、これもよく見ると上下がつながったトロンプルイユのコンビネゾンだ。最後は、トロンプルイユのテーラードスタイルを脱いでトリコロールと花柄の水着になってサーフィンへ向かってフィナーレ。
エルメスはブラウンとイエローをキーカラーに、いつものように上質な素材をシンプルなラインに収めた。カーディガンのような襟のレザージャケットは柔らかな風合い。キャンバスタッチのコートはレザーのパッチポケットがアクセントになる。スエードブルゾンもオフホワイトとブラウンのコントラスト。ホースのプリントブルゾンは柄の中に馬が隠れているように見える。ショーの後半はブルーグリーンからパープルにかけての色がメイン。カーディガンやシャツにタイダイできれいな色をのせた。足元はほとんどがサンダルのノンシャランスタイル。
楽しげなレゲエのリズムに合わせて、ポール・スミスはたくさんの色を組み合わせた。ウィンドーペーンのスーツに合わせるのは、ラスタカラーのシャツ。ラスタカラーのチェックのジャケットやパンツもある。ブルーのチェックシャツは身頃にパッチワークでナンバーリング刺繍がされる。オレンジやグリーン、イエローの原色のスーツは ノータイでカジュアルに着こなす。足元は、レインボーカラーのエスパドリーユやメタリック刺繍のシューズ。
オフホワイトは、白と黒を軸にしたストリートスタイルを見せた。クロスモチーフをプリントしたオーガンディトップ、人の顔やサソリをジャカードで描いたセーター、パンツの裾にもサソリの刺繍がされている。ストリートのリアルスタイルを思わせる柄と組み合わせるのは、タータンチェックのシャツやアップリケ刺繍のレザーブルゾン。写真のようなスクエアの布をアブストラクトに飾ったコートなど、ちょっとしたボリュームの変化に勢いを感じさせる。(写真=catwalking.com)