【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】17年春夏ミラノ・コレクションにビッグシルエットの流れが強まっている。前シーズンからのトレンドを継続して、ビッグショルダーのロングスリーブスタイルが広がった。大きなフォルムはトレンドの中心だが、そこにそれぞれのブランドらしさをいかに盛り込めるのかがキーになっている。
シンプルに変身/プラダ
プラダはぐっとシンプルに変身した。カーディガンやトレンチコートといったスタンダードアイテムをオストリッチフェザーが彩り、レトロなプリント柄はシフォンスカートや透けるドレスを重ねて雰囲気を変える。体を包み込むようなイメージからラップスカートやラップのようなディテールのトップが多い。ラップディテールを留めるのは、鮮やかなラバーの面ファスナーで、それがフューチャリスティックなイメージを加えていく。ジャカードニットのブルゾンはバックにドレープをとって膨らませたフォルム。ジャージーに見える鮮やかなレザーのトップは大きく襟ぐりを空けたように見えるレイヤードとなる。ボトムはすっきりとしたミニ丈か膝丈のスカートで、足元もラバーのサンダルやフェザー飾りのヒールサンダルで固める。レイヤード、レトロな柄、シンプリシティー、スタンダード、いくつものキーワードを重ねながら、軽やかなエレガンスにまとめた。
メゾンの歴史祝うビッグショー/ボッテガ・ヴェネタ
ボッテガ・ヴェネタはブランド創設50年、トーマス・マイヤーによるデザイン15周年という記念すべきコレクションを見せた。6月のメンズのショーを休止して、レディスとメンズを合わせた76ルックとなる壮大なショー。
ショーの前半は、上質なレザーを生かしたラインが揃う。オストリッチのボリュームのあるコートとハイウエストのデニムパンツ、クロコダイルのジャケットにブラトップといったスタイルが続く。薄いボンディングレザーのコートやスカートは、ピンクやオレンジの鮮やかな色。ウエストベルトとタブのようなディテール飾りが特徴で、ドレスやブルゾンのアクセントとなる。ハイウエスト位置のレザーベルトでシェイプを利かせて、そこからフレアに流れるシルエットを作る。ニットドレスは繊細な透け感の編み地と配色で見せる。クリスピーな風合いのコーティングドレス、かすれたようなチョウのプリントドレスも。
メンズはレザーパッチワークのジャケットやスエードトップ、サテンのスーツ、ハイウエストパンツといったライン。ボッテガ・ヴェネタが得意とするクラフトテクニックを生かして、メゾンの歴史を祝福した。
ジル・サンダー
ジル・サンダーは、トレンドのボリュームラインを取り入れながら、テーラードを軸に抑制の利いたスタイルに仕上げた。ジャケットやコートは、スクエアショルダーやドロップショルダーの大きなフォルムとぶらぶらと袖が揺れるロングスリーブ。そんなトップに、ボリュームのあるキュロットパンツで可愛らしく見せる。プリーツドレスはラウンドの大きな肩、タイトスカートも斜めにプリーツが流れるシャープなイメージだ。デジタルタッチの曲線プリントのドレスもスクエアショルダーのロングスリーブ。スリーブの内側のシームを割ってフルイドラインを描くドレスも。
ヴェルサーチ
ヴェルサーチはスポーツとグラフィック。ナイロンパーカはパープルやグリーンをグラフィカルに切り替え、ボディースーツも同系色の曲線的な切り替えがされる。ドローストリングスを絞ってシャーリングでシルエットを変えたコート、ゴム引きの張りのあるコートもある。ショーの後半は、生地の切り替えに合わせてボタンでつないだドレスやコートが軸。そこにレースをタテにつないだ切り替えドレスを加える。ビジューのカラーブロックドレスでフィナーレ。
(写真=大原広和)