デジタル化や新規事業の育成で成長を目指す
当社の歩みを振り返ると、米子会社や国内工場の閉鎖など、困難な時期を数々乗り越えてきました。現在、国内は浜松と岐阜事業所に集約して以前より規模は縮小しましたが、他社から譲り受けた事業を含め、日本国内の染色加工の火を守り抜いてきたと自負しています。
一方で今後の日本の社会は、高齢化や労働人口の減少が見えており、生産現場のデジタル化は必須です。インクジェット化は、まずスクリーン捺染から始めます。よって、浜松の織物、岐阜のニットが対象となります。その次の展開はロータリー捺染、海外工場への展開を考えています。
原料価格が高騰する中で、原価低減にも一層取り組みます。とくに綿のシルケット加工などに欠かせないカセイソーダの価格上昇が顕著なため、これを濃縮回収する装置を浜松に導入予定です。
保育、業務用洗濯といった新規事業の拡大も今後のテーマです。新たにミャンマー縫製などもスタートさせ、海外強化と合わせた四つの柱で成長を目指します。
TOKAI DYEING CO.,(THAILAND)LTD.(タイ東海)
差別化素材の開発や海外販路開拓を強化
タイ東海は1964年に操業開始した、54年の歴史を持つ染色子会社だ。2000年代には従業員250人、月300万ヤードを生産したが、近年はタイの景気低迷も受けて事業の再構築を進め、約半分の規模に縮小して収益確保に努めている。
無地染め、プリント、白生地の三つの品種を手掛けるが、人材を多能工化し、稼働体制も生産を集約することで効率化させる。つながりの深い織布工場、エラワンテキスタイルと連携し、細番糸やキュプラ、リヨセルといった差別化素材の加工を手掛ける。また、販売先のサンペーン地区の生地問屋と組み、海外販売にも力を入れる。
P.T.TOKAI TEXPRINT INDONESIA(T.T.I.)
現地のニーズ捉え、他社にないデザインが競争力に
インドネシアのTTIは、同国での需要増に伴い、受注は好調に推移している。輸出ビジネスを想定していたが、現地市場をターゲットにした「土着化」にシフトし、うまく当たった。
中でもプリント素材は、絵画調など他社にないデザインが若い女性にも受け、ヒットにつながっている。素材に製品イメージを添えるセット提案は、生地問屋がアパレル向けの販売ツールとしても活用し、効果を上げている。
今後は人材面で日本との連携も強める。浜松で受け入れているインドネシア人技能実習生は、帰国後にTTIで採用するケースもあり、幹部候補として登用していく。
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(繊研新聞本紙6月14日付け)