「アシードンクラウド」の16年春夏は、15~16年秋冬から続くポエティックなストーリーをもとにイメージを広げた。焦点を当てたのは〝季節〟。「身近な自然が減り、季節を感じられる要素が生活において少なくなっている中で、服が季節を感じるきっかけになれば」といった思いを込めたコレクションだ。
虫や植物といった、自然のモチーフがキーになる。ギャザースカートやドレス、シャツにプリントしたのは、日本の四季折々の花々と、それを見下ろす渡り鳥たちの図柄。刺繍レースで描くのは、クワガタやセミ、バッタ、トンボといった昆虫だ。そこに、マウンテンパーカやワークディテールのベストを組み合わせる。
展示会では、草木染めで144色に染め分けたジャケットやスカート、プルオーバーなどを、グラデーションになるように陳列して見せた。暦の二十四節気を更に細かくした七十二候の一つひとつにつき、各2色を揃え、その時期の植物の葉や実などで染めたもの。全て丈の長さを微妙に変えており、重ねると現代の十二単(ひとえ)のようになる。草木染めは今季の商品に直接生かしてはいないが、今後取り入れていく考えもあるという。