「アズマ」(東研伍)の23年春夏コレクションは、ロックバンド「ザゼンボーイズ」と協業し、ライブステージの前にランウェーを作ってライブパフォーマンスとともに見せた。テーマは「エブリシングイズチェンジング」(諸行無常)。
デザイナーの東は今できることの大切さを考え、ロックが好きな気持ちをブランドを通して伝えたいと、敬愛するザゼンボーイズの公式ホームページから協業を依頼したという。快く引き受ける返事があり、アニメーション作家の協力も得ながら、ジャパニーズロックのスピリッツを洋服のクリエイションへと発展させた。
音楽と洋服それぞれの個性をしっかりと立たせる形式で見せた。サイドの壁面には、朱色のパンツをはいたキツネが踊り狂うアニメーションを投影する。ザゼンボーイズの楽曲の一つから形にした映像で、服を装飾するモチーフに連動している。
雲を模した柄のジャカードのテーラードジャケットやシャツ、クロップトパンツに、そのキツネが揺らぐように重なり合った柄をプリント。強い主張を感じさせるセットアップに、ラバーソールのトラッドシューズ。パンクロックの定番スタイルだが、ストーリー性をはらんだアニメの柄を掛け合わせることで、サブカルチャー的なムードが広がる。ザゼンボーイズのモノクロ写真をプリントしたロックシャツやパンツもある。混沌(こんとん)としたなかで、日本人の心を感じるようなアレンジが温かな気持ちを誘う。
(須田渉美)