《解説》最終判断は“人間力” ビームスの人材評価制度とは?

2024/06/29 06:30 更新


「ビームスハウス丸の内」のメンズクロージング売り場で働く齊藤さん

 ビームスは、5月16日付で販売員の齊藤浩樹さんを執行役員に任命した。設楽洋社長の肝入り人事だ。販売職として同社初の執行役員に抜擢(ばってき)された齊藤さんのミッションは「店頭に立つ皆の目標になって後に続く人間を増やす」ことだという。

 6月5日付の記事で掲載しきれなかった齊藤さん本人へのインタビューの詳細も交え、ビームスが「頑張りたい人間が頑張れる企業」を目指すうえで、販売員のキャリア形成や人材評価の仕組み作りをどのように進めているのかを見る。

(本社編集部=柏木均之)

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売るだけでは興ざめ

 今回の人事に関して(設楽)社長に「接客とサービスはビームスの商売の核だ。その役割を担う人間が執行役員になるべき」と言われました。僕自身は好きな仕事で人を楽しませたいと思って、30年近く販売員をやってきた。それだけです。

 自分の何が優れていて、どうして売り上げが取れるのか、実は自分ではあまりわからないです。スタイリング投稿も苦手過ぎてやってないですし。ただ、対面したときの安心感とか、お客様に合わせて接客のテンポを変えるとかは常に意識しています。

 確実に買ってくださるお客様に誠実に対応することが良い接客という考え方もあるでしょう。店にお客様がたくさん来てくださった時代には、お客様が買うか、接客時に見極めることがある意味、正解だったかもしれません。

 でも今は市場がシュリンクしているのに、似たような商品を売る店がたくさんある状況です。どこでもおしゃれな服を買えるし、レベルの高い接客だって当たり前。そうなると自分の「我」を出す接客ではお客様が興ざめしてしまう。

買いたくなる店を作る

 販売員が素敵なスタイルで店頭に立ち、商品知識も豊富で、接客以外の場面での気遣いもできる。良いお客様を接客するのではなく、良いお客様になっていただけるよう、良い店づくりを心掛けることがこれからもっと大事になる。

 僕がこの業界に入ったきっかけもそうだったんですが、…続きは繊研電子版で

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