「ボンポワン」がパリ左岸本店に緑がいっぱいの庭園を作り、17年春夏のランウェーを披露した。映画や写真、絵画からインスパイアされたアーティスティックなテーマで遊ぶコレクションを見せた。
ショーは、ウェス・アンダーソン監督「ムーンライズ・キングダム」のカラフルな60年代でスタート。色あせたジーンズ、チェリープリントのフレアスカートにタイトなニット、透明なレインコートにハット、鮮やかなストライプ柄のちょっと背伸びしたプレッピースタイルだ。続いて、ジェーン・カンピオン監督「ブライト・スター」の19世紀の叙情的なイングリッシュガーデンへと移る。セピアがかったブルーやオレンジのレースドレス、デニムのオーバーオールで、メランコリーな散歩へと導く。
夏色のテーマはゴーギャンから。鮮烈なレモンイエローに野生の赤い花を手刺繍したジャケット、エスニックなパンツは画家が描いたマルキーズ諸島の自然と結びついてゆく。ロベール・ドアノーが写真に収めた60年代のパームスプリングスから、カリフォルニアの午後をイメージするラインを見せた。小さな女優のようなシルエットのシルクオーガンディのぜいたくなジャカードドレス、アトリエの技で成し得たリネンガーゼプリントにスパンコールを施したスカートなどが登場した。(パリ=松井孝予通信員)