パリのカルティエ現代美術財団で、写真展「大道東京」が開催中だ。森山大道が大都会の雑踏の隙間に見た一瞬が、86枚のカラーの大きな記録として展示されている。
広告ポスター、商店のウインドー、飲み屋の看板、人の流れ。ここに展示されたシリーズ「東京カラー2008~2015」は、現実と写真家の私的な存在が混じり合う瞬時の美しさが、見るものを引きつける。「モノクロのトーンが好き」と話す大道。
14年7月~15年3月の期間を設けてデジタルカメラのモノクロームモード、縦位置だけで東京、香港、台北、欧米の都市を撮った写真集『犬と網タイツ』から、この展覧会のために制作した219枚のスライドも併せて上映している。「(街には)どうでもいいものがいっぱいある。目のフィルターを1枚変えただけで世界はガラッと変わる」。大道の写真が彼自身の言葉を証明する。6月5日まで。(パリ=松井孝予通信員)