パワフル・フェミニテ、コントラストがキーワード
今回のコレクションはいろんなものをミックスして、エネルギーを作りたかった。パリのロマンティックなところ、クチュール、ストリートのエネルギー、パリの持っている遺産のようなものをミックスして、レアールという文化やメトロの交差するポピュラーな場所で見せたかった。トップモデルも何人か混ぜているけれど、友達や街で見かけていいなと思った人、アーティスト、ダンサーをキャスティングしました。ミックスするのだけれど、統一感を出しました。
素材はシルク、モスリン、サテン。高いものも使っているけれど、デニムやコットンのTシャツもある。そこに羽根の刺繍やクチュールの手仕事を加えることで、クチュールにしています。ナイロンやジャージーのジョギングパンツにクチュールピースのトップを合わせたり、Tシャツに手の込んだスカートを合わせたり。対極にあるものを合わせていくのが好き。パワフル、フェミニテ、コントラストがキーワードです。
大きなメゾンでキャリアを積んできたけれど、インディペンデントであろうと決意した。トータルな自由が欲しいから自分のブランドを始めた。ブランドビジネス、クリエーション、エモーション。全部、自分でやっていかなきゃいけない。今までよりもコマーシャルにはいかないだろうけれど、ショーも今までのようなショーじゃないけれど、もっとインパクトを与えることができる。90年代のジル・サンダーとか、インディペンデントで出てきた人たちのように、新しいシステムを今、この時代に作らなければいけない。新しい時代を作りたい。
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■CHRISTELLE KOCHER 36歳。02年、英国のセントラル・セントマーチン美術大学BAを卒業。クロエ、ドリス・ヴァン・ノッテン、ボッテガ・ヴェネタなどで経験を積んだ。10年から現在までメゾン・ル・マリエのアーティスティックディレクター。14年に自らのブランド「コシェ」をスタートした。
レアールのショッピングモールで見せた観客全員立ち見のショーは、ストリートのエネルギーと繊細な手仕事のバランスが絶妙だった。ビジューはゴーサン、刺繍はルサージュなど、クチュールの物作りが背景にある。作りはラグジュアリーで、メンタリティーはストリートの力強さを感じさせる期待の新人。(聞き手=小笠原拓郎、写真も)