靴のセレクトショップ、クリエイション(神戸市)が開発した女性用オリジナル商品「ポケットサンダル」(税込み1万6500円)が好評だ。デザインのユニークさと高いフィット感による履きやすさが評価され、「試し履き後の買い上げ率が高い」(店主の佐藤公哉さん)と手応えを得ている。同店での販売はもちろん、卸売りもする。皮革の調達から製品化まで市内で完結し、素材次第では10足未満の小ロット対応も可能だ。
(小堀真嗣)
秘密はポケット
ポケットサンダルは、アッパーの内側に設けたポケットが特徴で、実用新案登録済み。ポケットはデザインのユニークさだけではなく、ポケット内にタンパッドと呼ばれるクッション材を入れると高いフィット感をもたらす。
佐藤さんは「足の横アーチが低くなる開張足(足が横に広がり、甲が低くなった足)の女性にフィットする靴のニーズが高まっている」とし、同商品を考案した。開張足の横幅に合わせて靴を選ぶと、低い甲に対してアッパーの高さが余る。パンプスのような先が細い靴を履き続けると、足が前に突っ込んで「外反母趾(ぼし)あるいは内反小趾になるリスクが高まる」と指摘する。ポケットサンダルは甲が低い足でもタンパッドでフィット感を微調整して足への負荷を抑えられる。
アッパーは靴ずれしにくい足当たりの柔らかい薄手の牛革を選んだ。フットベッドは優れたアーチサポート機能を備えたスエード調の人工皮革を採用。合成ゴム製のアウトソールは横方向の切れ込みと、細かい格子状の切れ込みでグリップ力を高めた。足運びがしやすい軽さも特徴だ。サイズは22~25センチ。アッパーやポケットのボタンの形状、色を変えるとデザインのバリエーションは大きく広がる。デザイン面も潜在力の高い商品として期待する。
靴も諦めない
「履きやすく、歩きやすい靴」の提供は佐藤さんが最もこだわることだ。同店には靴を選びに来る客だけではなく、「靴が足に合わず痛い」などと相談に来る客も少なくない。佐藤さんは痛みの原因を探り、靴選びのアドバイスをしたり、インソールやタンパッドを組み合わせてフィット感を改善したりして〝悩み解決〟に努めてきた。「開張足の女性が多い」という実感もその過程でつかんだ。「それならタンパッドを収納できる靴を作ったらどうだろう」。内ポケットを設けるアイデアが生まれた。
最初は靴の予定だった。協力工場に企画を持ち込むと、小売価格で「5万円程度にしないとコストが合わない」として保留。サンダルなら1万円台に抑えられ先行した。靴も諦めていない。この実用新案を武器に「ネクストスタンダードを狙っていきたい」という。